幸乃は動揺していた。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 「…そんな…。…そんな事って…。」
今度は幸乃、絨毯の上に正座。そして腰を曲げるようにして頭を下げて、
「…どうして、また…。」
目を瞑って…。

スマホの向こう、藪岡、
「汀さん。柚香さんのおばあさん。…大丈夫ですか…???…あ、いや。申し訳ありません。大丈夫ですかと言う私の方が…。大変失礼な。」

幸乃は動揺していた。頭に過るのは以前、長篠観音病院での出来事。
けれどもあれから2か月以上は経っている。
しかも…、自分の前では柚香が以前のように陽織に代わったと言う記憶はない。
…けれども今、電話の向こうでの…。

ゆっくりと幸乃、頭を上げて、頬を赤く。そして目は充血したように…。
けれどもようやく開く口。鼻水を啜りながらも…。
「先生…。」

スマホの向こう、
「あ、はい。」

幸乃、
「藪岡…先生と、言いましたか。」

「はい。藪岡…、海路と言います。」
「精神科医のお医者さん。」

「あ、はい。蔵廉大学附属病院の精神科の精神科医を…。心理療法としても、そしてカウンセラーとしても…。」

その声を聞いて幸乃、少し苛立ちが先に脳裏に…。
…けれども、今はそんな事を意識しても仕方がない。
何故、柚香は自分に先に。…と思ったのではあったが…。

その考えはすぐに消えて、スマホ越しに、
「先生。柚香は…。…いえ…。陽織は今…。」

スマホの向こうでは藪岡、
「えぇ。柚香さんの部屋で、真輝君と柚香さんのお友達と…。多分…、話しをしているの…だと、思います。…先ほど、真輝君から私に、電話補がありましたから。柚香さんが陽織さんに変わっていると…。」

その話に幸乃、すっかりと、肩の力を落としたように…。
「そうですか~~。あの子たちは、もう…既に…、柚香が陽織に…。」

「えっ、え~~。」
「分かりました。」

その声に藪岡、
「えっ…???」

幸乃、ひとつ息を吐いて、そして吸って、
「あの子…、実は以前、長篠観音病院と言う病院でも、陽織に…。…その時も、何が何だか…。余りの衝撃で…。有り得ない事が目の前で…。…けれども…、担当の先生が…。…もしかしたら…、その…、解離性…。多重人格の…。」

藪岡、話を聞きながら、
「はい。」

幸乃、また泣き崩れるように、
「どうして…、こんな…。」
一度はまた頭を下げて、嗚咽のように…。けれども、何とか踏ん張って…。
鼻を啜り、スマホ越しに。
「あっ、いえ…。ごめんなさい。…申し訳ございません。…私が…。…でも…。あの子たちは、私より…。」

藪岡、幸乃に、
「いえ。おばあさん。あの子たち、と、言うより…。一番は柚香さんです。」

瞬間、幸乃、目をパチクリと、
「柚香。」

藪岡、一度頭をコクリと。
「えぇ…。…実際、柚香さん、凄いですよ。」

幸乃、またもや目をパチクリと、
「…す、凄い。…どういう…???」

藪岡、表情を明るく、
「いえ…。これは、私の意識的なものであるのですが…。まっ、確かに…。」
そして思い出したようにでもあり、
「うん。真輝君。勝巳君も凄い。」

幸乃、
「真輝…君。」

「えぇ。…柚香さんを助けてもくれている。ありがたいですよ。」

幸乃、また目をパチクリと、
「ありがたい…。真輝君が…???」

「そもそも。」
藪岡、
「柚香さん、今のように陽織さんに代わって…。」

「あ、はい。」
「通常だったら、平気で大学なんかに通学すると思います…???…それこそ、家族中がパニックで、あちらこちらの精神科医に…。それこそ、今後どうなるのか分からない、その人の事を24時間体制で…。見守り…ような…。しかも、当の本人も怖くて一歩も外に出れない。…もしかしたら…。そんな風に…。…でも、柚香さんは…。」

そこまで話を聞いて幸乃、
「柚香…。…あの子…。」

藪岡、スマホ越しに、
「私は、驚きでした。柚香さん。私の病院にも足を運んでくれたんですけど…。とにかく、好奇心の賜物。こちらの方が驚くほどで。」

その声に幸乃、
「あの子が…、ですか…。」

「えぇ~~。」
笑うように藪岡、
「落ち込んでなんていられない。そんな事になったって、何も変わらない。なんでこうなったのか、私は知りたい。納得しないと気が済まない。」
またしても笑いながら、
「いやいやいや。あのポジティブ性には私も…。何だか、頭が上がらなかったのを覚えてます。」

幸乃、
「あの子が…。」
その時にふと思い出した、柚香の…、「おばあちゃん。病院で私…。何か…。」
その時の柚香の声に…。思い出しながら、ゆっくりと頭をもたげ…。そしてスマホ越しに、
「そうでしたか…。」

藪岡、
「私も、いろいろと柚香さんからお話は聞いています。…それに…。他にも、私以外に柚香さんの事…。そして…、陽織さんと会っている人は、他にもいらっしゃいます。…ですから…。汀さん。幸乃さん。柚香さんのおばあさん。…慌てずに…。」








LIBRA~リブラ~   vol,091.  幸乃は動揺していた。

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