「根気よく、根気よく。」  | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ その声に幸乃、ようやくスマホを耳に、お辞儀をするように…。
「ありがとうございます。」

藪岡の声、
「大丈夫ですか。」

「あ、はい。…それに…、柚香の友達、そして…、真輝君も…、今。柚香の部屋に…。あれから、大きな音は…。」

「そうですか~~。」
そして藪岡、
「こんな事は…、言える訳ではないんですが…。普段のままで…。…と、言うのも、実際は…、無理な話…。…ではあろうと、思われます。…けれども…、何とか、今起こっている事を、今は、とにかく、真摯に受け止める以外に…。」

幸乃、話に、
「えぇ。」

「多分…、真輝君、今日の事で私に、後で何かしら話を…。それを聞いて柚香さんも、何かしら、行動を…。…一度、自分が陽織さんになって。また戻って…。その繰り返し…。…けれども、いつ、そうなるかは…。」
「えぇ。」

「根気よく、根気よく。考え方としては…。…ある意味、別人格が、入り込めない状態に持っていくのも、ひとつの方法かとは思いますが…。実際、そういう事を当人に…。これも…、難しい話ではあるのですが…。」

幸乃、
「分かりました。…なんとか…、私も…、平常心で…。」

「難しいと思います。…こんな事を言って、失礼な事は重々ですが…。…できれば…。今の状態を…。是非、何とか、受け入れて頂ければと…。」

幸乃、またスマホを耳に頭を下げて、
「ありがとうございます。」

藪岡、スマホに、
「…それでは…、私は…。」
チョコンと頭を下げ、
「失礼します。」

幸乃、
「ごめん下さいませ。」

通話は切れる。

幸乃も藪岡も、スマホを持ったままで、

「ん~~~~。」
藪岡、椅子に背中を押し込むように…。
「これで…、何とか…、少しであっても、前に…。」

幸乃、けれども心なしか、茫然と…。
「…柚香…。陽織…。」

まだ…、洗濯物は…畳まれていないものが…。中途半端で…。

そしてまた頭をもたげて…。目を瞑って…。
「なんで…。こんな事に…。」

その時、ゆっくりと階段を下りてくる足音。そして、茶の間に。

愛実、
「おばあちゃん。」

真輝、
「あのぉ~~。」

幸乃、その声に振り返って。まだ赤い目のままで…。
愛実と真輝の真ん中に、陽織。ただ黙ったままで…、口を噤んで…。

幸乃、何とか笑顔を…。
「あ~~。うん。」

愛実、何かしら、申し訳なさそうな顔で、
「わ…、私たち、ちょっと…。これから…、外に…。」

その声に幸乃、ニッコリと作り笑いで、
「うんうんうん。…そうかい。うん。行っといで。」

真輝、幸乃を見て…。こちらも申し訳なさそうな顔で、そしてペコリと、
「す、すみません。…後で…、また…。」

幸乃、真輝にも、
「うんうんうん。ありがと。真輝君、メグちゃん。よろしくね。」

愛実と真輝、
「じ、じゃあ~~。」

3人揃って、玄関に。

愛実、陽織の背中を優しく抑えながら…。そして外に…。



真輝、
「さ…て、と。」

陽織は未だに、ムッツリとした顔で…。

愛実は愛実で、
「いやいやいや。知らない間に、そういう事になっていたとは…。」

真輝、
「実は…。うん。」

陽織は隣の女性と男性を交互に見て、何かしら不貞腐れたような顔で、そして小さく、
「もぅ~~。なんで私が~~???…全~~然、記憶、ないんだけど~~。」

愛実、
「まっ。確かに。私だってびっくりだよ。まさか。」
そして愛実、
「…で~~、真輝君はもぅ~~。その、藪岡先生と言う精神科の先生とも…???」

その声に真輝、
「うん。一度だけ。エンカントの店で。」

「ふ~~~ん~~。…で、長篠の熊田先生にも。」
「うん。さっき…。…って言うか、数時間前ね。」

そして愛実、隣の陽織を見て、
「陽織ちゃん。は~~。その…エンカント。」

「名前なんか知らないよ。ただ、そこに行ってお酒飲んで…。」
ムッツリとした表情の陽織、
「お手伝い…???…する程度。」

愛実、陽織を見ながら、
「なんだ。…けど…。凄いよね。いきなり店に入ってきてさ。財布も何も持っていない人に…。」
そこまで言って愛実、
「…って言うかさ。陽織ちゃん、あんたも凄い。いきなり、働かせてください。って。」

いきなり真輝、可笑しがりながら、
「確かに。そういうとこって、なんか…、柚香さんにも…同じような。」

そんな真輝を見て愛実、笑顔で右目を歪ませて、
「へぇえ~~~ぇ???…真輝く~~ん。」

真輝、すぐさま愛実を見て、
「…ん…???…何…???」

愛実、思いっ切り口をへの字にして、
「イシシシシシ。」

真輝、咄嗟に、
「何…???…その笑い~~~???」

「いえいえ。何でもございません。」
「さてと。ジュースでも…。」

「あっ。」
いきなり愛実、
「うんうんうん。それ、私。」

真輝、愛実を見て、
「へっ…???」

「いや。だってさ。私が真輝君、呼んだんだから。」
「いや。そんなの別に…。…って、言うか…。そっ。」

いきなり愛実、ガクッと。
「あれ…???…おもわず、アッサリ。」








LIBRA~リブラ~   vol,092.  「根気よく、根気よく。」

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