すると、すぐさま今掛けた電話番号から着電。
「はい。勝巳です。」
スマホの向こう、
「真輝君か、藪岡ですけど。」
「あ、はい。」
「電話、申し訳ないけど、陽織ちゃんに代わってくれるかな。」
真輝、
「あ、あ〜〜。はい。」
愛実、真輝を見ながら、
「……。」
真輝、愛実に、
「電話、陽織ちゃんに代わってって。」
愛実、2度頷いて。
「ふんふん。…って言うか、電話の相手って…???」
「藪岡先生。精神科医の。」
愛実、口を開けて、
「あ、あ〜〜〜。うんうんうん。」
真輝、陽織にスマホを…。
「陽織ちゃん、電話。藪岡先生。」
その声に陽織、
「やぶおか…???」
すると、今度は明るい表情で、
「あ、あ〜〜〜。うんうんうん。」
そして真輝、陽織に自分のスマホを。陽織の右の耳に当てて、
そして陽織の右手でスマホを待たせて、
「このままで、話して。」
陽織、目をキョロキョロと、
「あ。うん。うんうんうん。分かった。」
陽織、スマホを耳に当てながら、そして男性に、
「何て言えばいいの…???」
瞬間、愛実、
「ぷっ。」
けれどもすぐに、
「…と、ごめん。」
真輝、
「もしもしって。」
陽織、顔を傾げながら、
「もしもし。」
スマホから、
「もしもし。あ。陽織ちゃん、僕、藪岡です。店で会ってる。」
陽織、すぐさま聞き覚えのある声に、
「あ、あ〜〜〜。はい。こんにちわ。」
その言葉に愛実、
「わお。」
真輝、そのままその場に立っている。
陽織、スマホからの声を聞いている。
「陽織ちゃん。今、気分はどんな感じ…???」
その声に陽織、
「う〜〜ん。…なんだか…、ピンと来ない。」
「うんうんうん。多分ね〜〜。…でも、今、傍に、真輝君いるでしょ。」
陽織、その声に、自分の傍に立っている男性を見て、
「うん。はい。」
「彼の事、良〜〜く話を聞いてくれるかな〜〜。」
陽織、
「話を…、良く聞く…???…どうして…???」
藪岡の声、
「うん。どうしてか、分かんないよね〜〜。…でも。今の陽織ちゃん。ほら。僕とお店で会った時に、陽織ちゃん、話してくれたでしょ。2歳の時から記憶がない。って。」
陽織、思い出したように、
「あ〜〜。はい。はいはい。そう。…だから、今、柚香。…お姉ちゃんの部屋にいるんだけど…。何が何だかさっぱり。…どうなってんの…???」
スマホから、
「うんうんうん。確かに、さっぱり分かんないよね〜〜。…でも。そこにいる真輝君、その事、知ってるから、聞いてみるといい。」
陽織、また男性を見て、
「この人に…???」
「そぅ〜〜。その人に。優しくて、親切な男性だから、大丈夫だよ〜〜。」
すぐさま陽織、一旦口を尖らすが…。男性を見て、
「うん。あ、はい。分かりました。うん。うんうんうん。」
そしてスマホから、
「陽織ちゃん、ごめんね。…じゃあ〜〜。また、真輝君に電話、代わってくれるかな…???」
「えっ…???…電話を代わるって…、どぅ…???」
真輝、陽織に左手を差し伸べて笑顔で、
「うん。いいよ。はい。ありがと。」
陽織、顔を傾げて、耳からスマホを放して、
「あ、はい。…どうぞ。」
真輝、スマホに、
「先生。」
藪岡、パソコンを見ながら、
「あ〜〜。真輝君、ありがと。状況は分かった。…とにかく、これから陽織ちゃん、いつ、どんな感じで柚香さんに戻るのか、分からない。」
「あ〜〜。はい。」
「とにかく、状況を踏まえて陽織ちゃんに接してくれるかな。ひとつ。何があっても、怒らない。」
そこまで言って、
「まっ。この事はまず、真輝君なら心配いらないと思うけど…。…ゆっくりと、優しく、事の成り行き、話してみるのも必要かも…。…とにかく、どんな事があるか、分からない。それは、肝に銘じて。」
真輝、その話に、
「はい。分かりました。」
「何かあったら、また連絡お願い。…それと…。」
真輝、
「あ、はい。」
「今…、柚香さんの家…。」
「あっ。はい。そうですけど…。」
「じゃあ〜〜。当然。おばあさん。」
「はい。」
真輝、
「そうなんです。」
「そっか。」
そして藪岡、スマホを耳に、少しだけ時間を掛けるようにして…。
真輝、愛実と陽織を交互に見る。
そんな真輝を見ながら愛実、
「うん…???」
真輝は顔を僅かに傾げる。
すると、
「真輝君。」
真輝、スマホに、
「あ、はい。」
「悪いけど…、おばあさんの電話番号って、分からないかな〜〜。」
その声に真輝、
「あ、あ〜〜。」
すぐさま愛実を見て、
「おばあさんの電話番号…。」
瞬間、愛実、
「あっ。それなら簡単。」
すぐさま柚香のスマホから、ササササと。
「あぃ、これ〜〜〜。」
真輝、ニコニコとして、
「な〜〜るほどね。うん。ありがと。」
真輝、愛実から差し出されたスマホ画面を、
「先生、いいですか…???」
藪岡、
「おぅ。…ふん。ふんふんふん。……で、いいよね。」
「はい。」
「分かった。…多分、私がおばあさんに電話して、納得してもらえるとは、思うんだけど…。」
真輝、スマホに、
「あ、はい。」
「ただ…。」

LIBRA~リブラ~ vol,089. 真輝、愛実に、「電話、陽織ちゃんに代わってって。」
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