「その仲人さんの場合は…、特殊なケースで…。」
真輝。
柚香、その話に、
「特殊なケース。」
「80代の御老人。」
「へぇ〜〜。」
「常に厳格でズシっとしている人だったらしい。…けど、ある時期から、いきなりソワソワと動き出して、まるで人が変わったように、家事から何から。それに、とにかく人に優しくなって…。奥さんが、余りに人の変わりように病院で診てもらったら、その…、今の柚香さんの…。」
柚香、
「解離性同一性障害。」
真輝、頷いて、
「そう。…でもね〜〜。その変わり様が、その80代の高齢には、仇となった。」
「…と、言う事は…???」
「うん。つまりは…。いつもは…ほら。人って、いつも動かさない筋肉とか、いきなり使っちゃうと〜〜。しかも…、それが…、継続したように。」
柚香、目を丸く、
「あ〜〜〜。…体に無理が…。」
真輝、口を噤んで顔をコクリと、
「そういう事〜〜。遂には、いきなりバッタリと…。結構、体格も良かった人だったみたい。」
柚香、
「へぇ〜〜〜。…そうだったんだ〜〜。」
コーヒーが目の前に運ばれる。
真輝、
「実際、僕も驚いた。解離…性…。…うん…???…何って…???…いや…。全然、そんな名前の症状って、今まで聞いたことがなかったから…。」
その話に柚香も頷いて、
「うんうんうん。私も〜〜。…だから私、すぐにその名前…。真輝君から聞いた時に、すぐにメグにもラインして。」
真輝、いきなりキョトンと、
「メグ…???」
柚香、すぐさまニッコリと、
「あ、あ〜〜。はは。私の友達。」
顔を傾げて、
「…って言うか〜〜。かかか、親友〜〜。…良き相談相手。」
真輝、コーヒーを飲みながら、
「へぇ〜〜。」
「井島愛実。愛に実って書いて。」
頷きながらの真輝、
「うんうんうん。」
「大学は甲南大。私と同い年ね。で〜〜。復職芸術科。」
真輝、
「…と、言うと〜〜。」
柚香、口をグンニャリと、
「ふん。彼女、メグは〜〜。女優志望〜〜。…で〜〜。演劇を学べる大学って〜事で〜〜。」
真輝、アヒルのような口で、
「へぇ〜〜。女優志望〜〜。凄いね〜〜。」
「うん。…でぇ〜〜。彼女にラインして、その後、すぐに、その、症状について。」
「な〜〜るほどね〜〜。」
「で〜〜。今日、大学に行ったら〜〜。」
真輝、今度は口を搾って、
「うんうん。」
柚香、一旦目を真ん丸にして、そしてニッコリとして、
「真輝君、今日、凄いよ。凄い、凄い。」
その顔と声に真輝、目をパチクリと、
「えっ…???…えっ…???…いや…。何…が…???」
一瞬、目をキョロキョロと…。
「あ、あ〜〜。はは。…で、病院…。」
柚香、ニッコリと頷く。
「うん。大学でお昼休みにね。」
「うん。」
「私、大学の友達と一緒にお昼してたの。…そこに、ある人たち。」
真輝の前に右手Vサインを。
真輝、
「うん。ふたり。」
「男性と女性。」
「ほぉ…。」
柚香、真輝を見つめて、
「何と、そのふたり、私は、全く…。」
瞬間、顔を傾げて、
「…と、言う訳じゃ、ないんだ…、けど〜〜。前に、一度…。」
真輝、顔を傾げて、
「うん…???」
柚香も顔を傾げて、そして両眉の先端を僅かに吊り上げて、
「でも、私は名前も知らない。」
真輝、
「ほぉ。」
「そんなふたりから…。特に男性の方ね。いきなり私に、汀柚香さん。って。」
真輝、思わず目を丸く、
「おぉ〜〜。」
柚香、腕組みしながら、
「いやいやいや。いきなり自分の名前言われて…。こっちは何が何だか…。ある意味、気味悪いし。」
真輝、頷いて、
「うんうんうん。」
「そうしたら〜〜。君、僕の事、知ってるって言うの。」
「うんうんうん。」
「いや。私、全然会った事もないし、話した事もないし。…そうしたら〜〜。今度は、私とそっくりな人、知ってるって…。いきなり私、はっ…???…って。」
真輝、口を開いて、
「おぅ、おぅ〜。」
「私だって、いきなりそんな事、聞かせられたらビックリするし…。だから友達も…。慌てて、柚香、じゃ、ごめん…て、席立つし。」
「うんうんうん。」
「そしたら、何。ふたり、友達が座ってた椅子に座って、いきなり、こういうの。」
真輝、一度瞬き、そして、
「うん…???」
「やっぱ、陽織ちゃんじゃない。…って。」
真輝、いきなり口を開けて、
「えぇ〜〜〜ぇえ…???」
柚香、素早い瞬きで、小刻みに顔を動かして、
「いやいやいや。私だってビックリするよ。目の前にいきなり現れて、いきなり自分の名前呼ばれて。…で、今度は何…???…いきなり私の妹の名前が出て来る。」
真輝も、
「いやいやいや。うんうんうん。」
「だから、私、そのふたりの前で、はっ…???…何…???…って…。」
「うんうんうん。」
「そうしたら〜〜。…何とビックリ。」
真輝、思わず目を真ん丸に、
「はっ…???」
「そのふたり。」
柚香、
「実は、陽織に会ってる。」
真輝、いきなり少し高い声、
「うそっ。」

LIBRA~リブラ~ vol,062. 「その仲人さんの場合は…、特殊なケースで…。」
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