「…で…。」
そこで藪岡、クスリと笑って、
「オーナーも、少しは考えたらしいんだけど~~。まっ、いっかって。…そんなに悪びれた感じの子にも見えないし。何か、訳アリだろうしって…。」
亮輔、ベッドに腰掛けたままで両手をベッドの端に。そして口を噤んで。
藪岡、
「…で、さっきの、テキパキ、客のウケもいい。って言うのが、それから何度か店での彼女。陽織ちゃん。これがほんと。客には評判がいい。」
柚香、藪岡の話を聞きながら、口を窄めて。
「但しだ。」
藪岡、亮輔を見て、そして腕組みして、
「多分、この事は既に、亮輔から話は…聞いていると、思うんだけど…。」
柚香、亮輔をチラリと…。
亮輔も柚香を…。そして頷く。
「店の陽織ちゃんは、0時から3時までしかいない。3時には家に帰らないと…。…そして…、その後の記憶が…。彼女には…、ない。」
柚香、まだ口を窄めたままで…。そして僅かに顔を傾げて…。
藪岡、
「逆に言えばだ。柚香さんには、そういう記憶…。」
優しい顔で…。
瞬間、柚香、
「あ、あ~~~。」
そして柚香、顔を左右に振り、
「…いえ。…全然。」
瞬間、阿須賀、目を見開いて眉を上に、
「わ~~お。」
亮輔、そんな阿須賀に、
「阿須賀。」
ゆっくりと頷く藪岡。
「…って言うか…。私。」
柚香、
「子供の時からの体質上…。」
顔をまた僅かに傾げて…。
藪岡、
「うん。」
「まず…、夜、寝ると…、朝までは、起きない。」
いきなり阿須賀、
「凄~~げぇ~~~。」
亮輔も、目を見開いて眉を上に、そしておちょぼ口にして、
「確かに、凄げぇな。寝たら朝まで起きない。…どんだけ寝てられんの…???」
「あっ。でも…、大体、8時間は…しっかりと…。」
柚香。
「はい。」
「…と、言う事は…、比較的、寝入りがいい。ベッドに入って、15分…程度とか…???」
柚香、考える風に…。そして頷いて、
「多分…。そうかも…。…そんな…、枕に着いて数秒…と、言う訳には…。」
藪岡、
「はは。うん。なるほど…。逆にそんな風になったら…、何かしら、ストレス抱えている。そして体がかなり疲れている状態になっているから…。」
阿須賀、
「えっ…???…そうなんですか~~???」
藪岡、阿須賀を見て、
「うん。ほら。だから、大人の場合、激務で疲れてソファなんかに、もぅだめ。的に横になるとすぐに爆睡。」
「あ~~。」
亮輔も阿須賀も、
「確かに。」
「ドラマなんかでも…、そうだわ。うん。」
藪岡、
「まっ。それは…さておき。」
柚香を見て、
「陽織ちゃん曰く。店で僕たちに、こんな事を言ってね。私は陽織、柚香じゃない。…って。」
その話に柚香、
「あ。」
亮輔をチラリと。
「あ~~。えぇ~~。」
「…で、僕たちも、陽織ちゃんには、柚香さんと言うお姉さんがいると言う事を知ったんだ。…けど…。陽織ちゃんには深夜の0時から3時までの記憶しかない。…何故か…。」
柚香、ポツリと…。
「解離性同一性…。」
藪岡、コクリと、
「うん。」
「それを、確信したのが…。柚香さん。君が…病院に入院していた時。」
瞬間、
「へっ…!!!…私が…、病院に…入院してた時って…。」
いきなり目をパチクリとさせての柚香。
藪岡、不思議な顔をして柚香を…。
「うん。確かに陽織ちゃん。そう言ってたけど…。いきなり病院で目が覚めたって。」
途端に柚香、
「うそ。」
亮輔、
「うそ…???」
柚香、咄嗟に、
「あっ。いや…。…って…。えっ…???」
下を向き、右手で髪の中を、
「あれ…???」
藪岡、そんな柚香を見て、
「うん…???…どうか…???」
柚香、
「えっ…???…いや…。そんな…。」
そして顔を起して、あちこち見て、
「そんな…。私…、全然、そんな事…。…私が変だと思っているのは…。…最近、朝、目覚めると頭が痛いって…。…今まで、こんな事、なかったのに…。それが…、一番不思議で…。…それに…、退院した後だったから…、尚更。」
柚香の頭の中で、病院にいた時が走馬灯のように…。
藪岡、
「陽織ちゃんが言うには…。ベッドで目を覚まして、自分がこんな体になっていたのにビックリ驚いて…。そしてベッドに着いている名前を見て、汀柚香だって事にまた驚いて…って…。」
柚香、ぎこちなく、
「うそ。…私…、全然知らない。病院でって…。何…???…それ…???」
その時、柚香のバッグの中のスマホに着電。
3人、共に、その音に注目。
柚香、なにやら困ったような…。
藪岡、
「出ても…。いいんじゃ…ないかな…???」
柚香、バッグを手に、
「あ、あ~~~。…でも…。」
「どうぞ。」
出る事を薦める藪岡。
柚香、
「あ。はい。」
スマホを出して画面を…。表示は、「真輝くん。」
柚香、3人を交互に見て、
「あ、あのぅ~~。」
藪岡、微笑んで、
「どうぞ。」
柚香、丁寧にお辞儀をして、
「すみません。」
そしてすぐさま後ろ向きになってドアを…。そして廊下に。
亮輔、腕組みして脚を組んで、
「ふ~~~ん。」

LIBRA~リブラ~ vol,055. 「0時から3時までしかいない。」
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