「何て言ったと思う…???」
真輝。
その声に愛佳、両眉の先端を吊り上げて、
「うん…???…何て言ったと…思う…???」
目だけ天井に向けて…、
「うん…???…って…、何て…???…分かんないけど…。」
真輝、どうしようもない顏で、
「…私は柚香じゃない。陽織だ。…って。」
吾大、いきなりまた、
「お~~い、おぃおぃお~~ぃ。」
そして吾大、困ったような顔で妻に顔を…。
そんな夫に愛佳、右目を歪ませて…。
すると吾大、
「かあさん…、それって…。」
その声に愛佳、思わずキョトンと。
「うん…???」
そして愛佳、僅かに顔を天井に。そして両目をキョロキョロと…。そして、
「ふん。…もしかしたら…。」
そして、顔を傾げて、
「…じゃあ~~。ないかも…???」
そして真輝に。
吾大はそのままテレビ画面に顔を…。
そして愛佳、吾大、同時に、
「解離性同一性障害。」
その声に真輝、両眉を吊り上げて、
「解離性…。」
吾大、
「あぁ~~。まっ。いうなれば、ほれ。さっき、かあさんもおまえも言った通りの…。それこそ…、二重人格…。そのものズバリ。」
真輝、
「うんうんうん。」
「まっ。多重人格とも言われる。」
愛佳、
「精神的な重症な症状って事ね~~。解離性同一性障害。…私も、おとうさんも、昔、そういう症状になった人…、知ってるの。」
その話に真輝、
「えっ…???」
吾大、
「俺とかあさんの…、仲人の人だ。まぁ…、その症状になったのが、もぅ…、80もなってから…、いきなり…。人が変わったように…。最初は…、痴呆症かなって…も、思われたんだが…。あっ、今は、痴呆症って言わないわな。認知症か…。」
愛佳、
「どっしりとして、厳格な人だったの。それが、いきなり家事から何から何まで。80も過ぎてのその動き、今まで、そんな風に動いた事、なかったのに。」
吾大、
「奥さんが、心配してな~~。…結局、その動きが…、親父さん…、最後の動きで…。コロッと、亡くなっちまって。」
一拍置いて、
「その時の医師の診察が…。その…、解離性同一性障害。体に、全く別の人が…、乗り移った状態。」
真輝、間髪入れずに、
「あっ、それ。全くその通り。その…、解離性同一…なんとか…。」
「厄介だな~~。」
吾大、今度は首の後ろに両手を組んで。
そんな夫に声に愛佳もコクリと頷いて、
「うん~~。」
その時、愛佳、
「あっ。でも…、真輝~。その人、まだ…、その…、乗り移ったままなの…???」
そこまで言って、
「あ、いや…。乗り移ったって、表現は…。ちょっと…。」
真輝、すかさず左手を振り、
「あ~~。ん。いや。」
そして、
「それは…、大丈夫。」
吾大、
「ん~~~???」
「途中で、元に戻ったから。」
吾大、僅かに頭を傾げて、
「おや。」
首の後ろに組んだ両手を解いて、今度は重量挙げのポーズ。
愛佳は、目を真ん丸に、そしておちょぼ口に、
「へぇ~~。凄~~い。人格が…、元に戻った…。」
「うん。家に帰って、少しして…。」
そこまで言って真輝、
「でも…。何でそうなったのか、気になって、気になって。」
愛佳、
「う~~ん。」
そして愛佳、
「こればっかりは~~。…素人では…。何とも~~。」
吾大、
「医者に診てもらえ。」
テレビ画面を見て、
「とぉ~~。終わっちまったぃ。」
愛佳も、口をグンニャリとさせながら、
「…そぅ…する以外に…。…う~~ん。ない…かもね~~。」
夫の横顔を見ながら…。そしてまた真輝を見て、
「可哀そうだけど…。多分…。薬術療法…かな~~。」
「…って、おぃ。真輝。…もしかして…、おま…。その…、解離性同一性障害…。の~~~。その人…。…が~~。おま…、彼女…???…って…???」
瞬間、愛佳も、
「あっ。」
目をキョロキョロと。
吾大、途端に体を起こして、
「おぃおぃおぃおぃ。」
愛佳も、
「あららららら。」
そして、ふたり、共に、
「えぇ~~~~え~~???」
吾大、今度は顔を凹ませて、
「なんで…、そうなるかな…。」
ふにゃりふにゃりと…。
そんな夫に愛佳、
「…って、まだ、そぅと決まった訳じゃ~~。」
ビールを飲んで真輝、両手で缶ビールを持ちながら、
「解離性…。」
そして母に、
「何だっけ…???…もぅ一回。」
愛佳、
「解離性同一性障害。」
「解離性同一性障害。」
そして、その事はその日の内に、真輝から柚香のスマホにラインで…。
柚香、そのメッセージを見て、
「解離性同一性障害…。その人の体に別人格の人が乗り移る。え~~~ぇえ~~???…って言うか~~。うんうんうん。確かに…。」
柚香、ベッドにうつ伏せになりながら…。右足を何度も持ち上げながら…。
「私の身体に、いつの間にか、陽織が乗り移るって…。…信じられないけど…。…でも、今日の事で、カフェから家までの記憶…。全くない。」
そして、その事は柚香から、今度は愛実に。
「はぁ~~~~あ???…何それ…???…解離性同一性障害…???…そういうのって…あり…???」

LIBRA~リブラ~ vol,048. すると吾大、「かあさん…、それって…。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
