株式会社デランナ食品部門第2事業部リーダー、園枝真香、
企画書を目の前に、
「企画書、拝見させて頂きました。」
隣に座っている荻聡をチラリと見て。
荻、
「この…企画書…なんですが…。」
殆ど表情を変えずに…。
それとは逆に真香、にっこりと、
「気に入りました。」
荻、
「…ですが、承認の方は、今しばらく、お待ち…頂けますか…。」
口を尖らせながら。
その声に真香が、首を傾げて、
「部長…???」
荻、
「全体的に、良く出来ています。商品として、申し分ない企画書です。」
奈都美、多少なりとも疑心暗鬼の顔で、
「はぁ…。ありがとうございます。…でも、でしたら…。」
「誠に、こちらの都合で申し訳ないのですが、当初の計画に、付け加えるという内容がございまして。」
奈都美、
「はい…???」
伸永は口を尖らせて。
真香、
「えっ…???部長…、私…、その話…聞いてないんですが…。」
その声に荻、
「当然、聞いている訳ないだろ。私だって今朝、聞いたんだから…。」
真香、小さく、
「えっ…???」
「実は、今回の企画に関して、クック・ル・ポットさんの他に、もう1社、加わることになったんです。」
奈都美、その話に、
「は…あ…???」
伸永の顔を見て、
「もう…1社って…???…あの…。」
荻、
「大変申し訳ないんですが、今日の午後には、その1社からの企画書が届くことになっています。その…企画と、比較した上で、検討させて頂きたいと。」
奈都美、
「えっ…???えっ…???」
伸永、
「…と、言う事は…、事実上…。」
真香も一緒に、
「コンペ…???」
荻、
「まぁ…、そう…なる…訳ですか…。」
「聞いてませんけど…私…。…でも、商品作るのは…私たちなんですけど…。」
少し興奮気味の真香。
奈都美、
「…と、言う事は…、私ども…、クック・ル・ポットの商品企画開発部、瀧澤と内海の方には…???」
「いえ…、まだ、ご連絡の方は…。なにせ、急な話しで、確認事項やら…なんやで…。」
奈都美、
「そ…、そんな…。」
「ひとつだけ言える事は、その1社の企画も加えなければ、この企画自体が、立ち消え…という事で…。」
伸永、
「…その、1社って…。教えていただく訳には…???」
「大変申し訳ありませんが、私どもも、次の仕事が控えてますので、これで…。午後に、ご連絡させて頂きます。」
素早く席を立ちふたりに一礼をする荻。
真香、
「部長~~。ちょっと…、待ってください。」
荻の背中に向かって。
「その1社って…、もしかして…常務の…???」
荻、
「君は知らなくともいい話しだ。とにかく、こちらの権限。」
そして、
「それでは…失礼。」
真香に、後ろ姿のままで、
「園枝君、君も仕事があるのではないかね。」
そしてドアを開けて出て行く荻。
呆気に捉われている奈都美と伸永。
真香、
「…ったくもぅ~~。」
腕組みして…。椅子に座り直して脚を組んで、
「ごめんなさいね~~。」
ふたりに向かって。
奈都美、
「あ…、あのぉ~~。園枝…さん…???」
そんな奈都美に真香、
「あっ。七瀬さん…。そして…。」
テーブルの上の…、
「尾田…伸永さん…???…凄いね、この名前…。」
そして、クスリと笑って、
「尾田…さん…も…、傾奇者…???」
その声に奈都美、
「ぷっ。」
伸永、いきなり般若のような顔で…。
真香、
「くくくく…。…な訳…ないよね…。…あっ。ごめんなさい。失礼な事…。」
そして、後ろで束ねていた髪を解いて、再び束ね直して、企画書を見て、
「多分…、フランク・アポン。」
奈都美、伸永、
「フランク・アポン…???」
「ふん。そこにウチの常務のボンボン。そしてこの8月に課長に就任。…で、初めて任された企画…らしい…。まっ、荻は、元々、常務派だからね~~。」
奈都美、伸永、
「常務の…ボンボン…。」
顔を見合わせて…。

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