「まっ、おぉっぴらには、発表すら、されていないんだけど…。それらしい…情報は…。」
真香。口を尖らせてツンとした顔をして、
「親の七光りって…噂~~。仕事は…、出来るらしいけど…。ものすんごい、大雑把。とにかく、利益が出れば。それでいいって…。」
黙って聞いている奈都美と伸永、
「……。」
「だから、今まで作った商品だって、人気なんて…。と~~んでも~~。…でも、なんだかんだで、売れて…、いるんでしょうね~~。」
奈都美、唇を絞って…。逆に伸永は唇を尖らせて。
「私たちだって、いつ何時、そんな商品、作らせることになるのか…。分かんないから、今までに作られたフランク・アポンの商品…。」
奈都美、頭を傾けて、
「……。」
真香、
「開けてビックリ玉手箱。」
奈都美、
「え…へ…???」
「みんな言ってた…。良くこんなのが…売れる~~って…。」
奈都美、小さくため息。
「もしかしたら…、荻のヤツ、朝からこの話…。常務から…。」
そして、
「勘弁して欲しいんだけどなぁ~~。久し振りに、売れるって企画に出会えたって思ったのに~~。」
奈都美、そんな真香の声に、困ったような笑いをして…。
「…でも、私たちには…。御社の決定事項には…。」
真香、
「だよね~~。従わざる…を得ないもんね~~。」
伸永、
「あのぉ~~。この件…、一旦…弊社…、持ち帰らせて頂いて…。」
奈都美、
「あぁ。そうだ。うん。とにかく、コンペなんて言う事実すら、聞かされておりませんので…。上にも報告しないと。」
真香、
「うんうん。いいんじゃないかな…。荻には、私の方から伝えておきますから…。」
「ありがとうございます。」
そう言って、伸永を見て奈都美、
「それでは…私ども…、これで…。」
伸永、奈都美にコクリと。
真香、
「あっ、ありがとうございます。」
そして、顔の前で両手を合わせて、そして頭をコクリと、
「本当~に、ごめんなさい。」
そして頭を傾げて、
「お願~~い、クック・ル・ポットの…、作らせて~~。絶対に売れるから。」
その声に伸永、ニッコリと。
奈都美、笑顔で、
「ありがとうございます。」
廊下に出て、通りすがるデランナの社員にお辞儀をする奈都美と伸永。
そしてエレベーターに乗って、腕組みをしながら奈都美、
「ふん。参った~~。なんで、今更…コンペ。」
「幾ら、商品が良くっても、組織の権限って…、強いですもんね~~。権限だけで、世に出る、出ないまで…、決められちゃうんですから…。」
エレベーターの天井を見て伸永。
その声に腕組みしながら奈都美、
「ふ~~~ん。」
それから、
「へっ…???」
エレベーターのドアが開く。
「…っと~~。電話…しなきゃ。」
バッグからスマホを出して。その時、また伸永から薫る、いい匂い。
奈都美、前を見ている伸永の顔を見て、
「ふふ。…あっ、七瀬です~~。お疲れ様です。」
デランナの玄関を出て歩きながら。
電話の相手は内海、
「おぅ。お疲れ。…で、デランナ…、どんな感じ…???」
通りに出ながら、スマホの向こう、奈都美、
「それ…なんですけど…。」
奈都美、デランナの建物を左に思いっきり顔を傾げて見ながら。
左側では、そんな奈都美を見ながらの伸永。
その時、奈都美の右肩にドン。
話しをしながら奈都美、
「えっ…???」
わずか数秒。
奈都美、右側を歩く3人の男性。ひとりの男性が右腹部を右手で押さえて。
そして、奈都美の方を数回、謝ったような顔で…。
奈都美、目をキョロキョロと。
「はい…???」
スマホの向こう、内海の声、
「何…???デランナがどうしたって…???」
内海の声に奈都美、
「あ、あ~~。すみません。なんでも…、企画…、もう1社…付け加えるって…。つまりは…、コンペ。」
「はっ…???コンペ…???聞いてないぞ、そんな話っ!!!」
奈都美、
「耳、痛った!!!!」
スマホから耳を離して、
「…ってか…、今…何…???」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。