そんな橙の肩を撫でるように飛香、
「ゆず…ちゃん…。」
数秒後、橙、目から流れる涙を右手で拭いながら…、涙声で、
「…うっ…。バッカだぁ~~。私…。うぅ…。」
万美、尋音、
「ゆず…。」
「全然、全く…。勝てる訳。ないじゃん。チーフになんて…。うう…。」
飛香、
「ゆず…ちゃん…。」
「巽…、脳梗塞になって…入院してから、笑顔…見れなくなった…。」
万美、尋音、
「……。」
「な~~んか…変だな~~って、思ってた。そして、今、その意味…分かった。」
「ゆず…。」
万美。
「たまに、病室でチーフと一緒になるとき、ある。」
尋音、
「うん。」
「巽、私より、チーフの顔…見るのが多い。」
万美、
「えっ…???」
「なんだか…、それが辛くって…。…でも、今まで、巽、私の事、いっつも守ってくれた。」
尋音、
「うん。」
「アパートで、いっつも、私にご飯、作ってくれた。」
その瞬間、万美、尋音、飛香、
「へっ!!!!」
「いやいやいや。アパートでご飯って…ゆず…???」
万美。
尋音、
「うんうんうん。はい…???」
少し治まったのか、バッグからハンカチを出して、涙拭いながら、
「ごめんなさい。私今、住んでいるアパート。巽のアパートの部屋の隣。」
途端に万美、尋音、
「え゛~~~~!!!!」
飛香、
「うっそ。」
「でも…、今の巽、な~~んだか…、違うな~~って…。」
万美、
「ゆず~~。」
「なんか…、遠くに行っちゃうのかな~~って…。うっ。」
ひと呼吸置いて、
「そんな時、フレバーの阿川さん。」
万美、尋音、
「阿川さん…、はいはい。うん。」
「杉浦君、ゆずちゃん、付き合っている風に見える。恋人同士って思ってた。って…。」
万美、
「おぅおぅおぅ。」
尋音、
「ありゃりゃ。」
「阿川さんにも、杉浦君には今、同棲中の人、いるんですって…言ったら…。」
万美、
「うん。」
「そんなの関係ないよ。とにかく、ゆずちゃんの気持ち、素直に…って。」
万美、
「う~~ん。」
「ユッキ、凄い、優しい。」
尋音、
「かかかか。うんうん。その通り。」
そして、何を思ったか、橙、いきなり、
「私もっ!!!!」
万美、尋音、
「えっ!!!」
「私も。私も。初恋の人、ユッキなのっ!!!」
テーブルに両肘、そしてハンカチを両手で握ったままでオデコに付けて。
その瞬間、3人、
「え゛―――――――――――っ!!!」
駅の構内、お互いの向かうホームに。
飛香、階段を上りながら、
「ゆず…ちゃん。」
万美と尋音、
「……。」
「万~~。」
橙、目の前…開いたドアの中に…。
半分程度の客になった店内。
雅樂、
「みど、上がりな。ユッキ、上で、休んでんだろ。」
翠、
「うん。分かった。」
「ありがとよ。」
「うん。お休み。絃~~。」
絃、
「うん。おやすみ。…大丈夫…???」
そんな絃に、作り笑顔で翠、
「ふん。大丈夫。」
絃、頭の中で、
「…みど…。」
雅樂、翠がいなくなった厨房で、
「いやいや。全く…。なんだってな~~みど~~。ユッキ…。けけけけ。」
そして雅樂、
「俺ぁ~~。なんつったっけ…???その…巽って…。遊馬ってか…。ユウマ…???会った事ぁ~~。ねえぞ。」
ぼそりと。
そんな雅樂に絃、
「雅樂…じぃ…。」
部屋に戻って翠、
「はい。上がり~~。」
薫郎、
「おぅ、お疲れ~~。ごめんな~~。手伝えなくって~~。」
「かかかか。な~~に言ってる、病み上がりの人間が~~。体力…付けようよ。」
「おぅ。」

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