「おまえは、このまま、フレバーに当たってくれ。田島川専務には、こっちの方で連絡入れておいた。」
惇哉、ニッコリと。そして目の前には千慧。腕組みをしながら…。
橙、頭の中で、
「…道理で…。」
「ゆず、ちょっと待ってくれ。」
そしてスマホを千慧に。
千慧、
「ゆず、お疲れ。大変だったね。」
橙、
「山根…マネージャー。」
薫郎、
「ヤマチ。」
千慧、
「ユッキ、どんな様子…???」
あのときと同じ、優しい声…。自分の時と同じように…。
そう感じて橙、ほんのりと熱いものを…、
「あ~~。はい。杉浦君、今…ベッドの上で。点滴…なんです。」
少し、涙声になって…。けれどもすぐに落ち着き直して。
患者と看護師が中に…、橙、ベッドから離れてドアを開けて。
「そっか~~。意識は…しっかりしてるのね。」
廊下に出て橙、
「はい。大丈夫です。」
「うん。良かった。ゆずのお姉さんの久留須さんにも、ゆずの方からお礼…言っておいて。ボスも…よろしくって。」
橙、
「あ~~。はい。分かりました。」
千慧、
「そして…、さっき、ボスも言ってたけど…。」
「あっ。はい。」
「これからすぐに手配する。だから…、あなたは…決定するまで、仙台…動かないでくれる。宿泊先は…こちらから連絡する。」
橙、
「分かりました。」
「じゃ…お願いね。」
通話を切って橙。
「ふぅ…。」
またドアを開けて薫郎のベッドに。
薫郎、
「ボスとヤマチ、なんだって…???」
「これから、ユッキの転院手続き…取るって。」
その声に薫郎、
「おっと~~。そう来たか~~。」
橙、腕組みして、
「確かに…。一週間から二週間、仙台にで…は…。」
その後、フレバーの商品企画課長の阿川渚沙(あがわなぎさ)に伴われ病院を後に。
「木葉さん、大変でしたね~~。」
橙、
「はい。あの…、すみません。御手数掛けます。わざわざ病院まで…。」
「ううん、良いのよ。…多分…、これから東京と仙台、ジェシカとフレバー、私が担当することになるから、よろしく。」
そしてにっこりと。
「杉浦さん、…でも、何かしら、元気で安心した。腹膜炎って聞いて、お腹…痛いだろうな~~って、思ってたけど…。」
「新幹線で…だったから、もぅ…びっくりして…。」
「だよね~~。」
「でも…、みんなが…助けてくれた。駅のホームに、すぐに救急車の担架。」
「へぇ~~。」
「病院でも緊急ですぐに検査してくれた。杉浦君、強いよ。病気だっていうのに、全然落ち込んでない。」
少し、安心したように話す橙。
そんな女性を見て渚沙、運転しながら、
「ふふ…。」
橙、
「えっ…???」
「なんだか…羨ましいなって思って…。」
そんな渚沙の顔を見て橙、
「阿川…さん…???」
「ふふ、渚沙で良いよ。」
交差点を左に曲がりながら、
「木葉さんにとって…、彼…、杉浦さん…、大切な人…???」
その声にいきなり橙、
「へっ…???あっ、いえ…。いえいえいえ。とんでもない。そんな…。」
渚沙、
「かかかかか。ごめんなさい。うん。ごめんなさい。」
「阿川…さん。」
「なぎ…さ。」
「……。」
「いいなぁ~~。好きな男性…いるって…。」
橙、
「へっ…???」
「ん~~~???…はは。なんでだろ。付き合う人、付き合う人、みんな…離れてく、私の場合…。」
橙、目をパチクリさせて…、
「え~~っ???」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。