薫郎、自分の左側の細長く細いチューブを見て、
「俺…、点滴…してんだ。」
橙、
「うん。腹膜炎…だって…。」
「落ち着いて…きたようね…。」
橙の傍からひとりの女性。
薫郎、初めて見る女性の顔に…、
「あの…???」
「久留須…蘭…と申します。」
蘭。そして橙の顔を見て、
「ゆずの…姉です。」
薫郎、
「えっ…???ゆずの…、お姉さん…???」
「新幹線で、偶然。私のおっきぃお姉ちゃん。」
橙。
薫郎、
「いやいやいや。何て言う偶然。」
その瞬間、薫郎、
「あっ、ゆず、田島川専務に連絡…。」
その時、蘭、
「へっ…???」
橙、
「うん。これから…。もう…矢萩リーダーには連絡してある。リーダーの方から連絡入れておくって言われた。私も連絡入れる。」
蘭、
「あなたたち…、何、新しい取引先への挨拶って…、フレバー…???」
薫郎、
「えぇ…。」
橙、
「あっ、そういえば…、駅で蘭姉ちゃん、電話…???」
蘭、
「ふん。私も…フレバーに…。特集記事…。一週間前から約束してたのよ。…で、今日…。」
薫郎、
「特集記事って…???」
「あっ。ごめんなさい。私…、週刊シャンディアの…編集者、やってます。」
その声に薫郎、
「週刊…シャンディア…???」
そして目をキョロキョロさせながら、
「あっ。えっ…!!!あの…、週刊シャンディアの…、久留須…蘭…。」
いきなり鼓動が高鳴り、
「めちゃくちゃ、ベテラン記者じゃないですか~~。あつっ。」
顔を顰めて…。
橙、
「ユッキ!!!」
蘭、
「あ~~っと。そんなに興奮しないで…。そして…。周りの患者さん…。」
薫郎、
「つつつつ…。痛って~~。」
そして数秒後…、ようやく落ち着いて、
「ゆず~~。この人…久留須さん、めちゃくちゃ凄い記者だよ。結構雑誌の…トップのページも、この人…。」
橙、
「そ…う…なんだ…。」
キョトンとして…。
「ある意味…、ボスもこの人と、繋がっているって…噂…。」
その声に橙、
「えっ…???おじちゃんと…???」
蘭、
「ボス…???…アンジェリーナ…。そして…ジェシカ…。」
蘭、空を見ながら、目をキョロキョロさせて…。
「ふ~~ん。まっ、ねぇ~~。」
そして、
「さて…。私は…。もぅ…この辺で…、いっかな~~。田島川専務に電話…しなきゃ。ゆず。あんたも…早く連絡入れときな。専務、心配するから…。とにかく、フレバー、これから…大切な取引先になるよ。田島川社長、かなり…やり手だからね~~。」
橙、
「あ~~。そうだ。」
そして橙、肩に掛けてある自分のバッグの中から。
「ば~~か。今から私が連絡するって言うのにあんたが先に連絡してどうする~~。とっくに矢萩リーダーが連絡してるよ。」
橙、
「あっ。そっか…。」
「もう少し、落ち着いてからでも、いいんじゃない…???」
「うん。分かった。」
「んじゃ、私はこれで…。」
薫郎、
「ありがとうございました。あっ。」
「ん~~???」
「杉浦…薫郎と言います。」
ドアまであるいて、そして振り向いて蘭、
「すぎうら…ゆきお…。うん。覚えとく。じゃね~~。」
橙、
「蘭姉ちゃん、ありがと。」
蘭、
「おぅ。ふふ。バ~イ。」
他の患者や付き添いなどにもお辞儀をしながら立ち去る蘭。
橙、ベッドの傍の椅子に腰かけて。そして薫郎の顔を見て。
少しずつ目が潤む。そして…鼻水が…。
「グスッ。」

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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。