蘭、
「ただ…、ベテラン記者では…ありませんけど…。」
千慧、
「お世話様です。ジェシカの…山根です。」
「存じております。山根千慧営業マネージャー。矢萩リーダー共に、ご無沙汰です。」
万美、
「週刊シャンディアの久留須…???…誰…???」
翠、
「私も…知らない…。」
蘭、
「今…、緊急室に…。もう…しばらく…掛かると…。」
その時、ドアが開き、蘭、
「あっ。終わったようです。」
呉羽、千慧、
「……。」
呉羽、
「久留須さん…。すみませんけど…。」
蘭、
「はい。このままで…。」
呉羽、千慧と翠を見て…。千慧、翠、頷く。
橙、蘭、
「先生…。」
看護師と医師。
「患者さんの…???」
蘭、橙の右二の腕を突っついて。
橙、
「あっ。はい。同じ会社の…木葉と申します。あの…???」
医師、
「そうですか…。…で、あなたは…???」
隣の女性を見て…。
「姉です。」
橙に手を差し出して。
医師、
「患者さん…。腹膜炎です。」
スマホのスピーカーから聞こえる医師の声。
一同、
「腹膜…炎…。」
蘭、
「腹膜…炎…と言うと…、先生…。」
医師、
「えぇ。私たち…、内臓器の表面、そしてお腹の壁の内側を覆っている膜があります。その膜が何らかの原因で炎症が起こる疾患です。」
遠くから聞こえるような医師の声を、
呉羽の机の上のスマホのスピーカーから流れる音声に耳を傾けるスタッフたち。
翠、
「腹膜炎…。」
橙、
「先生。…あの…、杉浦君。」
医師、
「えぇ…。この患者さんの場合、腹膜炎。ただ、この腹膜炎の中にも2つのパターンがあります。急性と慢性。そして、この患者さんの場合は…、急性です。」
橙、
「急性…。」
呉羽、千慧、
「急性…。」
蘭、
「…と、なりますと…???…先生…。」
「慢性の場合は、手術が必要となります。それとは逆に、急性の場合は、多くの場合、絶食と抗生物質の点滴で治る可能性があります。」
その話を聞いた途端に、いきなり橙、体がフラリと…。
蘭、
「おっと。」
橙を支えて…。
橙、
「あ…、ごめん…。」
医師、
「ご心配ですね。とにかく、あとは…看護師の方から…。」
フロアでは…、既に、翠が、呉羽の机の前で、腰砕け寸前になっていた。
それを万美と尋音が両脇から支えていた。
翠、
「急…性。」
呉羽、大きくため息を突いて、
「ふぅ~~。」
右肘を机に、髪に手を入れて…。
千慧、腕組みをしたままで…、そして少し、目を潤めて、唇を引き締めて、
「参った~~~。」
そんな千慧を見て飛香、
「マネージャー、目…赤…。」
と、小さく…。
隣で立っている礼人、
「当然だろ。ヤマチのお気に入り、ユッキだぜ。」
そして医師がその場を離れる直前に、
「そして、最後に、治療には…入院が必要となります。では…。私は…これで…。」
その声がスピーカーから流れた瞬間、呉羽、千慧、
「あっ。そっか~~。ヤマチ…。」
千慧、
「うん。」
翠、
「入院…。」
橙も蘭も、
「…入院。」
病院に到着して、2時間が経過していた。
薫郎の病室、多床室。
点滴中の薫郎。付きっ切りの橙。
「ユッキ。」
ようやく落ち着いてきた薫郎、橙の顔を見て、
「ごめんな、ゆず。まさか…俺がこんな…。」
橙、
「うん~~。びっくりしたよ~~。」

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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。