客室乗務員と橙、そして蘭の4人で出口の傍の空席に運び込まれた薫郎。
未だに辛い表情。そして、下腹部を押さえたまま。
客室乗務員の沙奈香、
「私たち、看てますので、お席の方に、どうぞ。」
蘭、
「ありがとうございます。ゆず…。」
橙、客室乗務員に丁寧にお辞儀をして、
「ありがとうございます。仙台まで、あと、少しですね。」
蘭、橙の右肩をトントンと…。
橙、自分の席の窓際に…。
蘭、
「…一緒に…いい…???」
「うん。…ありがと。蘭姉ちゃん。」
「ううん…。何…、仕事…???」
そんな蘭に橙、
「うん。仙台の…新しい取引先に、ご挨拶。」
蘭、
「ふ~~ん。」
そして、
「アンジェリーナ、ジェシカだっけ…、ゆずの会社…???」
「うん。」
「そっか…。」
「おねえちゃんも…仕事…???」
そんな橙に蘭、
「あったりまえでしょ。こんな格好で、バカンスに見える…???しかも…目的地は仙台よ。」
「ふ~~ん。」
そして、
「忙しい…???」
「ふん。まぁまぁ…。」
その時、アナウンス。
蘭、
「おっ。」
橙、
「うん。」
ふたりぶんの鞄を持って橙。蘭と一緒に前の出口に…。
窓の外を見て蘭、
「さっすが、対応早い。しっかりと…担架。」
沙奈香、
「お待たせしました。ドアが開き次第…、運びましょう。」
蘭、
「はい。ありがとうございます。」
担架に薫郎。
蘭、沙奈香と、もうひとりの客室乗務員にお辞儀をして、
「ありがとうございました。」
そしてバッグからサッと名刺を出して、
「私…こういうものです。」
沙奈香、
「はぁ…。」
そして、名刺を見て、
「週刊誌…シャンディア…、久留須(くるす)…蘭。」
既に担架の中の薫郎に付きっ切りの橙。
沙奈香、頭を下げて、
「お大事に。」
そんな客室乗務員に蘭、笑顔でコクリと。
橙も歩きながらお辞儀をして。
橙、
「蘭姉ちゃん。」
蘭、
「うん。わたしも一緒に…。はは、あんたひとりじゃ、心細いでしょ。」
そんな姉に橙、頬を赤らませて、舌を出して、
「うん。へへ。ありがと。」
蘭、
「あの…、すみません。どこの…病院…???」
救急隊に…。
「北原病院になります。もう既に連絡してありますから…。」
救急隊。
蘭、
「ありがとうございます。ゆず、あんた、このまま救急車で病院行って。私…、タクシーで向かうから。」
橙、
「うん。分かった。」
そして蘭、バッグからスマホを出してポン。相手が出る。
「お世話様です。週刊シャンディアの久留須…と申します。11時でお約束していた田島川社長とのインタビューなんですが…。緊急事態が発生して、遅れると…田島川専務に、伝言、お願いしたいんですけど…。」
その話を聞いて橙、
「へっ…???」
蘭、
「あ~~、はい。あっ…、わざわざすみません。」
橙、
「蘭姉ちゃん…???」
蘭、橙の顔を見て、
「ふん…???」
そして、
「あっ、田島川専務。…申し訳ありません。…もう…仙台には着いたんですけど…。ちょっと…緊急事態に巻き込まれまして…。それほど時間は…掛からないかと…思いますが…、お約束の時間には…遅れるかと…。後ほど、また…ご連絡いたしますけど…。これから…病院に…。……。いえいえ。私ではないんですけど…。」
そうしながらも、目の前は仙台駅の入り口。
蘭、
「ありがとうございます。それでは…。」
そして、
「ゆず、私、タクシーで追いかける。」
橙、
「うん。蘭姉ちゃん、ありがと。」
蘭、橙に手を振り、足早にタクシー乗り場に。
救急車に乗り込む橙、
「すみません。お願いします。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。