珂帆から巽の事を聞かされたルッポラのスタッフたち、
その時点で、確実に暗いムード。
珂帆もその夜は落ち着かなく時間を過ごした。眠ったようで眠れない。
そして翌日も、店内は静かに…。
けれども、ゲストに対しては…最高のサービスで…。
ただ、スタッフたちの、それぞれのプライベートの時間は…、
殆ど、だれも口を突くことはなく…。
そして、その日、丁度早番で勤務に着いていた珂帆が、
勤務終了後に再び、巽の見舞いのために病院に。
病室のドアを開ける珂帆、
「失礼します、ルッポラの…本条と申します。」
入ってきた女性にいきなり椅子から立ち上がりお辞儀をする。
「お父さん、巽が仕事をしているところの店長さん。」
そんな妻の声に、入り口に振り返り、女性に、
「あ~~。これは、これは、この度は…。」
そう言ってお辞儀をする。
「巽の父親の…、遊馬…達樹(あすまたつき)と申します。」
珂帆、
「初めまして…。」
そして、ベッドに近づき、
「遊馬…くん…???」
知美、
「今…眠ってます。」
そしてにこやかに、
「昨日…、あの…点滴をやってもらって…。」
珂帆、
「はい。」
「あれから1時間…しなかったかと…。意識が戻りまして。」
珂帆、
「あら~~。」
知美、
「え~~。先生の話だと、塞がれた血管が、再開通されました…とのことで…。」
珂帆、
「良かった~~~。」
思わず目を潤ませて、笑顔で…。
「じゃあ、看護婦さんの…言った通りに…。」
「えぇ…。私も今朝、病院に着いたばかりで、話を詳しく…。」
達樹。
「何とお礼…言っていいやら。本当に、ありがとうございます。」
知美、
「この子、意識…取り戻してから、すぐに…。ごめんなぁ、こんな事になっちゃってって…。」
その知美の声に珂帆、
「うんうん。」
鼻をハンカチで押さえて。
そして、
「あ…、あの…、おかあさま…、そして、…あの、失礼ですが、あの…、後遺症の方は…???」
その珂帆の声に、また知美、にっこりと笑顔で、首をコクリと、
「確実な事は…本人次第だけど…。今までの症例から言って、多分、心配は…ないかと…。確率は高いと考えてます。と…。」
その声を聞いた途端にまた、
「良かった~~~。うん。ありがとうございます。」
達樹、笑いながら、
「そんな…本条さん。私たちの方が逆に、ありがとうござました。ですよ。」
珂帆、
「えぇ。そうですね。」
そして眠っている巽の顔を見て、
「遊馬君…、良かった~~。」
「でも…、体…、片方は…、麻痺…してる…みたいですけど…。」
巽の顔を見ながら知美。
その声に珂帆、
「……。」
そして、小さくつぶやくように…、
「そっか~~。」
その時、
「ん…。ん~~~。」
唇が動いて、顔が微かに…、そして虚ろに目が…。
知美、達樹、
「巽。」
珂帆、
「遊馬君。」
巽、目を開け、
「寝てた~~。」
そして、
「…ん…???ここ…???」
「病院…。病院…。病院にいるのよ、巽…。」
知美。
巽、
「…病院…???…あっ、そっか~~。」
そして、
「あっ。みど…。」
知美、達樹、その巽の声に、
「えっ…???」
珂帆、
「あっ。」
そして珂帆、ベッドに身を乗り出して、
「遊馬君。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。