要次と甫が、居間で将棋を指している。
栄造、
「おやおや…。将棋ですか~~。」
「えぇ…。いやいや。田所先生…、強い、強い。」
甫。
「うん。湯上先生…、筋は良いんですけど…。まだまだ…。」
そしてニッコリと笑って。
「頑張りましょう~。」
「すんません。自信満々で将棋、始めたんですけど。これほどとは…。さすがは、剣道部顧問。凛としてますよね~~。凄いですよ~~。これで、独り身なんて、勿体ない。」
甫。
「へっ…???田所先生…、おひとり…なんですか…???」
栄造。
要次、そんな栄造の声に、頭を掻いて、
「えっ…???ははは。まぁ…、その…。バツイチで…。はい。」
「あっ。いや~~。全くそんな風に…見えなかっ…。あっ、いや…、すみません。」
頭を下げて詫びる栄造。
「いえいえいえ。そんな…。ははは。全然。」
「部員たちと同じくらいの…娘さん…、いらっしゃるそうで…。」
甫。
「えぇ…。まぁ…。」
要次。
栄造、
「へぇ~~。」
「まっ。人生…いろいろ…、ありますわ。日々、勉強させてもらってます。」
栄造、
「ふ~~ん。……。あれ…???湯上先生…。それ…。詰まれてますよ。」
その一言で甫、
「えっ???えぇぇぇぇぇぇ…???うそ…???」
「それにしても、びっくりしたわ、彩萌…。」
部屋の窓から夕方の景色を見ながら信一。
「ん~~。うん。」
憲央。
「まさか…、田所先生…好きだ…なんて。」
「うん。」
「…って、言うか、おま、憲…。1年の時からそれ、知ってたって…。」
「ふん。そっ。」
「しっかし…、俺にも黙ってて。」
「ば~か。言う訳ねぇだろ。体、なんぼあっても足りねぇ。」
「けど…不思議だよな~~。彩萌だったら、他に彩萌を好きな男子、いそうだけど…。」
「なかなかね~~。でも…、俺、あいつ…好きだよ。彩萌。友達としては、あんないいヤツいない。」
「憲…。」
「勉強も出来て、空手も出来て。強い。そして、芯がしっかりしてる。面倒見も良い。」
「うん。」
「でも…。もし…、あいつが、俺の彼女なんて…。無理だよな~~。余りに…出来過ぎてる。それに…。」
「なんだよ、それにって…???」
少し間を開けて憲央、
「…同い年か、年上って、俺…。ダメなんだよな~~。」
そんな憲央の声に信一、
「は…あ…???」
窓際に両手を付いて憲央、
「俺…、ふたりの姉…、いるだろ…。」
「あ。あ~~。」
「この期に及んで…。」
「ふ~~ん。」
遠くを見るような目で信一。
「…ん…???…って~事は…憲…、おまえ…、もしかして…年下好み…???」
憲央の顔を見て信一。
憲央、そんな信一の顔を見て…、
「…ん…???」
「おぃおぃ。」
「ん~~~。かな~~。」
信一、
「おぃ!!!」
憲央の背中をバンと叩いて。
「…ったく…、なんでだよ…。」
ガックリと信一。
憲央、
「は…あ…???何でおまえが落ち込むんだよ。」
「いやいやいや。…だってさ~~。あ~~、んもぅ~~。」
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庄司紗千 「雫音〜shizukune〜」
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。
