スマホの応答ボタンを押して、
「侑佳…、おま…。」
周りには…誰もいない。
「へぇ~~。東京のダニエルって、ここなんだ~。広告企画室…5階…。」
道路脇のビルの看板を見ながら侑佳。
「来ちゃった。私…。」
「えっ。ええええええ~~。侑佳…、おま…、下にいるの…???」
「うん。」
「ちょっ…、ちょっと…、侑佳…。」
「来ちゃだめ。会社いるなら、降りて来ないで。」
「いや…。…んな事…言ったって…。」
「今日…一日…、東京にいる。」
「えっ…。」
「明日…、予定通りに…神戸に帰るから…。」
「明日…。神戸に…。」
「うん。」
「侑…佳…。」
「一度、浩の…会社…見ておきたかった。」
そして、少し間を置いて、
「浩……。今夜…会える…???」
「侑佳…。」
お昼を食べながら麻衣子。そんな麻衣子を見ながら知寿子、
「マコ…。」
麻衣子、
「ふん…???」
「モッちゃんから…その後…、メール…???」
捷子、そんな知寿子と麻衣子を見て…、
「ねね…、モッちゃん…、どうした…???」
麻衣子、
「んんん…。」
首を振りながら…。
知寿子、
「なし…か…。」
午後7時過ぎ。侑佳が提案したレストランで待ち合わせをした浩一。
大凡一年振りの再会。
浩一、侑佳のいる席に…、
「待たせたんじゃない…???」
「うん。待ちました。30分くらいは…。……、だって…、やること…、ないし…。」
「確かに。」
そして、テーブルの上からの侑佳を見て、
「痩せた…???」
「……ように…、見えるよね~、やっぱり…。」
「…で…、どうしたの、突然旅行なんて…???」
そして、少し間を置いて、
「子供は…???…向こうの両親にでも…???」
椅子に座りながら浩一。
「とにかく…、一年…振り…???」
そんな浩一に、侑佳。
「浩…。」
「ん…???」
「赤ちゃん……。流産した…。」
最初は、浩一の顔をじっと見ていた侑佳だったが、
次第に瞼が熱くなり、目をキョロキョロと…。そして今度は鼻先まで赤く…。
浩一、
「えっ…???」
そして、浩一の顔から自分の顔を背けて、目尻から流れる涙を左手で拭って。
「…流産って…、おま…、侑佳。…俺…、てっきり、社長と結婚して、子供出来て、しあわせに暮らしていると…。」
侑佳、何故かしら、止まらない涙。

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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。