今度はコールが途絶えない。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

ドキドキ 「おんや~~。頑張ってるね~柚~~。」
浩一。

「ふ~~ん。レポート~~。」
両手で頬杖を付きながら…柚。
「めっちゃくちゃ…、分かんな~い。無茶難題だよ。んもぅ~~。こんなのあり~~???」

「ん~~???」
覗き込む浩一、
「現代社会…の…。核家族の…背…景…???…はぁ~~あ…???こんな…課題…あんの…???今って…???わお。」
そして、
「…こりゃ…。まぁ…、母さんに…。いや…。」
今度は後ずさりしながら…、
「まっ、頑張って…。うんうん。」

「母さん、今、お風呂~~。」
「ではでは…おや…すみ~。」

そして部屋に入ると、着電。
「ん~~。マコちゃん…???か…???」
スマホを手に取り、
「…ん…???」

けれども、今度はコールが途絶えない。
そのまま、応答ボタン、
「もしもし…。木本ですけど…。」

応答がない。

「…もしもし…。あなた…誰…???」
何も音がないスマホの向こう。
「もしもし…???…迷惑電話なら…、辞めてくれる。」

そして、耳から離して切断ボタン…。

「……。」
わずかに人の声。

「…ん…???誰…???」
再度耳に…。

静かな向こう、そして…、
「……こ…う…。」

いきなり浩一の鼓動が高鳴る、
「ゆぅ…。」

向こうから、掠れた声、
「こう…。」

「おまえ…。侑佳…???」

そして、今度は泣き声のように、
「浩~~~。……。うっ。うっ。……。や…っと。…声…、聞けた…。」
絞るような声…。
「あ…、あ…。」

「ゆ…、侑佳…。侑佳…。」

そして、そのまま…電話は切れる。
浩一、茫然としながら、
「これ…、侑…佳の…電話…番号…。」
目をパチクリさせて…。

「…でも…、どうして…、あいつ…。今…???…それに…、どうして…泣いて…。」

そして今度はリダイヤル。
「なんだ、なんだ。どうした。どうしたんだ侑佳。」
けれども、何度コールしても、今度は相手が出ない。

いきなり頭の中に甦る、去年の夏。そして侑佳との楽しかった季節。

「なんだよ、なんだよ。どうなってんだよ。あいつ、今、どうなってんだよ。」

そして、もう一度電話。けれども…やはり相手は出ない。
なり続ける鼓動、
「でも…、今は……、やばいか…。旦那さん…。」




ベッドの中…、枕元のスマホのコール。
鳴り続けるコールに、涙を流して、
「やっと…、浩の…声…、聞けた…。でも…、ごめんね…浩…。」

 








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庄司紗千 海をこえて

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。