リビングで雑誌を見ている三条章江。
「奥様、栗林様と言う方からお電話です。」
家政婦が子機を持って章江に渡す。
「あぁ~はいはい。ありがとう。もしもし…、お電話代わりました。栗林さん。お疲れ様。」
会社の廊下、窓の向こうのたそがれて行く街の景色を見ながら愛美、
「奥様、栗林です。お世話になっております。ご返事、遅れて大変申し訳ありません。」
章江、
「いえいえ。そんな…栗林さん。全然大丈夫ですよ。はい。それで…。」
「はい。私…、今回…。」
「うんうん。うん。……。そう~~。うん。分かりました。わざわざありがとうございます。ごめんなさいね~。良く、考えてくれて…、ありがとう。」
何故かしら小鼻が赤くなり、目を潤ます章江。そして自然に目尻から涙が…。
「うんうん。愛美さん…。ごめんください。はい。」
街の景色を見ながら、頬を伝う涙を拭いながら愛美。電話を切って。
「マサ~~。」
と、小さく…。
いきなりスマホに着電。電話の向こう、
「愛…おま…。」
将史。
少し沈黙の後、ゆっくりと、
「…へへ…、マサ…。」
鼻水を啜りながら…、
「今、三条さん…返事した。今回の事…、なかったことにして下さいって…。んんん…、誤解しないで。マサが悪いんじゃないから…。だめだよ、私…。どんどんマサから…離れてっちゃうもん…。どうしようも…ないよ。それに…。」
「それに…???」
「……。もぅ…、切るよ。」
プツリと切れる電話。
将史、
「愛美…。」
近づく靴の音。
「マ~坊…、どこに行ったと思ったら…。」
瞳美。
瞳美に振り返って将史、
「かな…。」
「ん…???」
一歩、そしてまた一歩、瞳美に近づいて、瞳美を抱き締める。
そして、瞳美の唇を自分の唇で塞ぐ。
目を閉じる瞳美。瞳美の背中をきつく抱き締める将史。
将史の背中に両腕を回す瞳美。
唇が離れ、
「叶。お前を絶対に、離さない。俺には絶対に、お前が必要だ。」
「マ~坊…。…私も絶対にあなたを離さない。私には…あなたが絶対に必要なの。」
そして、再び合わせる唇。
「ど~こ行ってたの~ふたりして~。」
ジュリアン。
悟朗、
「ん~~???」

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