そんな恭子と玲子の姿を、ふたりが大学1年目の終わりごろから、
静かに見つめる姿があったのだった。
もちろん、その姿は、和人も智香子も、夏輝や玲子、恭子にすら知られる事もなく、
何人もの人との入れ替わりで続けられていたのだった。
その知られない何人もの姿が、一人の男性と女性にある決断をさせていたのだった。
東京と大阪に拠点を持ち、全国展開の総合不動産の大手「フェニックス総合地所」
様々な分野まで業務を拡張している企業である。
その本拠地となっている東京本社に4年前に、取締役として大阪から一人の男性が就任した。
伊集院国弘である。
同じくその秘書として一人の女性も異動。妻、伊集院加代子である。
そして準備期間を踏まえ、数々の実績を達成。
そしていよいよ本格的にある事業に着手したのであった。
そしてそれが丁度半年前。
伊集院国弘と加代子が目を付けた事業が、「和風レストラン」
そして着目した立地場所が、東京は神楽坂。
和人、
「まさか…、ここに…、和風レストランが…建つ。」
「その…経営者が…、恭子と、玲子。」
智香子。
もう既に、準備は進んでいた。立地、及び周辺環境として条件は充分。
ただ、今現在経営されている店舗、そして手法では全くその条件に添わない経営状況だった。
それを「フェニックス総合地所」が買取。新たなる事業を進めていた。
伊集院、
「倉科さん、そして大塚さん。大変申し訳ないが、おふたりのこの4年間、しっかりと拝見させて戴きました。その結果が、ここなんです。君たちになら、任せられる。君たちから私は、そう決断させて戴きました。」
「みなさんにも大変ご無礼な事をしたと思います。正体を現さずに…、今までいて…。でも…、これしか方法がなかったんです。純粋なものを見極めるのに…。」
加代子。
恭子、玲子。
「伊集院さん、加代子さん…、そんな事…。」
恭子、
「ここ…に…、私たちの…お店ができる。」
玲子、
「うん。」
「コウちゃん。」
浩二、
「おぅ。」
伊集院、
「是非、せいざんの姉妹店として…。」
恭子、玲子、
「はい!!!」
目を閉じて、そしてイメージしながら恭子。
「玲子~。」
「…ん…???」
「私たちのお店、今、名前…決めた。」
「へっ…???」
「アン姉ぇ、和兄ぃ…。こうじ~。」
3人、
「ん~~???」
きっぱりと恭子、
「私たちの和風レストラン、名前…、和香にする。」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。