どら焼きを食べながら、そのまま和人に抱き付こうとする智香子。
「おいおい、智香~~、食べながら~。かかか…。はい、それ頂戴。」
和人。
「ん…。」
と、口をモグモグさせながら、和人の唇に、「チュッ。」として、
体を動かした拍子に、右手に持っていたどら焼きを和人の口に、
「あ~ん。ほい。」
そして、体を元に戻して、
「ふ~ん。これでもんちゃんがOKなら、めでたし、めでたし~っと。」
「問題は、恭子…ってか~。」
「そういう事~。…大阪で浩二とうまく行ってれば良いんだけど…。」
2階の部屋で自分のスマホを見つめ、メールの履歴を辿る夏輝。
つい一週間前までのメールのやり取りがここ数日は途切れていた。
「恭子ちゃん。そして…玲子ちゃん…かぁ。…俺…だったら~。」
椅子から立ち上がり、カーテンを開けて、12月の東京の夜を見ようと窓を開ける。
「う~わ。やっぱ…さみ~、ぶるるるるる…。」
「もんちゃ~ん、ご飯~~。」
下から智香子の声。
「はいはいはい。…やっぱ…さみ~や。…さてと。飯、飯~。」
「はい沙耶~~、お風呂入るよ~~。」
洗い物を済ませて、リビングのテーブルに座る真奈美。
「ふふ…、よっぽどそのぬいぐるみ、気に入っちゃったか~。良かったね~。」
テーブルの上で小さな白い熊のぬいぐるみでずっと遊んでいる沙耶。
「うん。お姉ちゃんがくれた~。」
サヴールでの会計の時に、小さな子供専用として店から贈られる、
粗品のぬいぐるみを玲子から手渡しされたのだった。
「かわいくって、良かったね~。お姉ちゃんも綺麗だったし。ねっ、沙耶。」
「うん。沙耶、あのお姉ちゃん、大好き~。」
「はは、そっか、そっか。」
そう言って、いきなり腕組みをして、
「ほら兄ちゃん、沙耶もこう言ってんのに。早く言っちゃえ。」
「ヘ~ックシュン」
「ん~???」
くしゃみした夏輝を見て智香子と和人。
「く…、どしたのよもんちゃん…、いきなり…。」
智香子。
「ははは…、どした、もん…???」
和人。
夏輝、
「あっ…、いや…。…誰だ…俺の噂…???」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。