「へぇ~~、デパートの隠れている部分って…、こんな風になってるんだ~。」
キョロキョロと見ながら恭子。
そんな恭子を見て、軽く微笑む案内の女性。
「こちらになります。どうぞ。中へ。」
女性に勧められて浩二も恭子も室内に入った…。
その途端、10人程の社員がふたりを確認して、
すぐさま椅子から立ち上がり一斉に一礼をする。
その光景に一瞬立ちすくんだ恭子と浩二。
「あっ。あ~~。」
その一礼を確認した後に、女性、
「どうぞ、奥になります。」
恭子と浩二の前になって歩き始める。
最後の男性ににこりと笑顔を送りながら、ドアをノックする。
「樋口です。お連れしました。」
部屋の中から、
「どうぞ。」
「さぁ、どうぞ中にお入り下さい。」
浩二、恭子、揃って、
「あ…、ありがとう…、ございます。失礼…、します。」
椅子から立ち上がり、
「良くお出で下さいました。ありがとうございます。どうぞ、どうぞ。樋口君、じゃ、頼むよ。」
伊集院。
その言葉に優しく返すように、
「かしこまりました。」
そして、恭子と浩二の顔を見て、にっこりと微笑み、
「ごゆっくりと…、どうぞ。」
「あ…、はい。あ…、ありがとうございます。」
恭子、そして浩二も一緒に…。
「どうぞ、どうぞ、お座りください…。」
伊集院。
「倉…科…さん、座れ…ますよね???」
恭子を見て。
「えっ…、えぇ…。どうも…。…じゃ…お言葉に甘えて…。コウちゃん。」
浩二、
「あ…、あぁ…。んじゃ。」
恭子がソファに座った瞬間、
「良かった~~。大丈夫みたいですね。」
伊集院。
「えぇ…。あの…、実は…。」
恭子。
「…ん…???あっ…。えぇ、はい。病院に掛かった費用は、全て、こちらの方で対処させて戴きました。」
「私たち…、びっくりして…。」
「お話してなくって、申し訳なかったのですが…。ですが、これも、商売…、いや…、お客様との関係を保つ意味でも、とても大切な事と言う訳で、ご理解して戴きたいんです。」
「はぁ…。」
浩二の顔を見ながら恭子。
「何だか…、申し訳なくって…。その場にいない人から…。…そんな…。」

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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。