そしてベッドから…大輔…。
「母さん…???」
「あっ、はいはい、あっ、楓ちゃん。どうぞ、どうぞ。」
ゆっくりと大輔のいるベッドへ…楓…。
楓の顔を見て…大輔…。
「えっ…???こ…の…人…???」
楓の顔を見て、弓枝の顔を見て、そして睦美の顔を見て。
「大輔…、この人が…楓さんよ。」
睦美もこの時、薄らと目を潤めて…。
「か…え…で…、さん。」
僅か数秒…、その、「か…え…で…さん。」の言葉に目を潤ませた楓。
そして鼻水を啜った楓。
ところが…、その表情は本当に僅かに数秒、
いきなり大輔の目の前に右手を差し出し、
「私、橘楓。」
と、きっぱり。
そんな楓を見ていた弓枝と睦美が、
「!!!!」
「手を出してるんだから、握手くらいしてよ。事故の前まで、私たち、彼氏と彼女だったんだから。」
笑顔で楓。
「えっ…???僕と君が…???えっ…、マジで…???」
「嘘でこんな事、母さんたちの前で、言える訳ないじゃない。」
「あ…、いや…、そりゃ…、まっ…、そっか…。」
照れる大輔。
その途端、今まで目を潤ませていた睦美が…、いきなり…、
「ぷっ…、くくくく…。はぁっはっはっ。…はぁ~ぁ…。」
その睦美の笑いに誘われて、弓枝までもが口に手を当て笑う始末。
「弓枝さん…。」
「ええ、ええ…。」
「さすが…楓ちゃん…、出来てる…ぷっ。」
「まったく…、この子ったら…。」
「母さん…???」
大輔…。
「ええ、ええ…、どうやら、その辺は…間違いないようよ。母さんたちも…認めてるから…。」
「えっ…うそ…???」
そう言って、自分の傍の楓の顔をマジマジと見る大輔。
「そんなに見つめなくっても良いよ、これから毎日見る顔だから。」
「えっ…、毎日…???」
その楓の言葉を聞いて睦美が、今度は手を叩いて笑う始末。
「そりゃいいねぇ~大輔…え~~。」
※※※※※※※※※※※※※
《PR》
庄司紗千 井の頭のいわし雲
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。