病院の裏側、数名の患者さんが車椅子に乗っている。
外に出て気分転換だろう。昼下がりの良い天気。
向こうには樹木、そしてその向こうに通りがある。
そんな樹木の下には綺麗な花が一列に咲き乱れている。
楓、
「うん、いい気持ち。やっと出れた~~。」
両腕を空に突き出すように…。
弓枝はベンチに座って。
「楓…、ほんとに…良かったね。」
少しだけ目を潤めながら…。
「母さん…。亜紀さんの…お蔭…。」
「えっ…???」
「亜紀さんが…夢に出てこなかったら…、私…。へへ…。」
そう言って、少し涙を浮かべる楓。
「亜紀さんって…???楓…???」
そう言いながら楓を見て、円香を見る弓枝。
「私と…、大に、一番大切な人。」
まっすぐに夏の景色を見ながら楓。
「亜紀…さん…。」
ポツリと弓枝。
そしてゆっくりと外で過ごした後に、
「さて…、そろそろ部屋に…。」
弓枝…。
「母さん。」
「…ん…???ふふ…、分かってる。母さんも、最初っからそのつもりだったから…。」
楓の乗っている車椅子の右の肘掛けに左手を置く弓枝。
その弓枝の左腕に両腕を絡める楓…。
「ヘヘヘ…ありがと。」
「あら、弓枝さん!!!えっ…、まあまあ…楓ちゃん。もう車椅子でも…。」
同じ呼び方が、「たちばな」と言う事もあり、いつからか、
名前で呼び合うようになっていた。
「えっ…母さん…、大の…???」
「そう…、もう…母さんたち、大輔君のお母さんたちとは、名前で言う事にしてるの。大輔君の…こちら…お母さん、睦美さん。今日は…政美さん、学校ね。」
「大…、いや…、大輔君の…お母さん…。」
「大でいいのよ、みんな…そう言っているみたい。逆に、その方が私たちには嬉しい。」
「…あ、はい。ありがとうございます。私…。」
「あらためて…、初めまして。橘樹睦美、大輔の母です。」
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庄司紗千 3センチの中央線
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