周囲は綺麗な花々が咲き乱れていた。
「へぇ~~、こ~んなとこって、ほんとにあるんだ~。ドラマや映画で、何度も観た事あるけど…。本当に観たの…初めて~。」
楓は、夢を見ていた。
「あ…、大…。いたいた、だ~~い。」
けれども…幾ら呼んでも一向に、大輔は、振り向いてくれない。
「んもう…、私の事…、忘れたんじゃないでしょうね~。だとしたら…、後で…酷いんだから…。」
そんな風にしながらも、花々を観ていると、そこに…、
「えっ…???どうして…あなた…???亜紀さん…???」
丁度、楓の立っているその場所から川の向こうに、
去年の夏の花火大会の時に逢った、坂崎亜紀が、
楓に手を振っていたのだった。
「亜紀さ~ん、待ってて~、私もそっちに行く~~。」
楓はそう言って、近くに、橋がないかと懸命に探す。
ところが、どんなに橋を探しても見つからない。
「なんで、橋がないのよ。ったく~…。」
そんな光景が、ここ数日、楓の頭の中では…繰り返し続いていた。
しかも、それと同じような事が…、大輔の身にも…。
けれども大輔の場合は、花々ではなく、大自然。
雄大な自然の景色の中だった。
ただ…、同じように、亜紀が川向うで手を振っていたが、
楓は元より、智志も慎二も、陽子も朱実の姿もなかった。
そんな夢とも言う現象が楓と大輔には数日、同じように繰り返されていた。
「橘さん、吉祥寺の病院、手配できましたよ。」
事故発生から13日目の事である。
「ありがとうございます。何とお礼を申していいやら…。申し訳ございません。」
弓枝、そして佳之。並びに辰巳と睦美。
「いいえ…。とにかく…、大事になさってください。」
その日の内に転出、及び転入。
弓枝、朱実に電話。
「朱ちゃん、楓と大輔君、吉祥寺、戻って来たわよ。」
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