「あんたたちの事だから、もしかしたら…って考えて、一応、早めに準備して置いたんだって。」 「うそ…、マジで…!!!」
「あんたたち、この前の夏、かなり頑張ってくれたらしいじゃない。」
「ま、まぁ…、何とか…。」
「お客さんに…、御祝儀まで戴いたとか…。」
「うん。そのお金、今回、使わせてもらうつもり…。みんな一緒だから…。」
「おばさん、何もお礼出来ないから、万が一の事を考えて、早い内に予約入れて置いたんだって。…しかも…、料金半額。」
「え――――っ、うそうそうそうそ――――っ!!!」
「クーポンや、その他の割引も使うと、そんな料金になるんだって!!」
「……。」
「…ん…???…陽子…???」
「…ん…。」
「何…、あんた、泣いてんの!!はっはっはっは。」
「…ん、だって…母さん。まさか…おばちゃん、そんな事まで、してくれてたなんて…。」
涙流して、鼻水を啜る陽子。
「気を付けて行っといで…。楽しんでらっしゃい。」
「…ん。」
「はぁ~堪んない。」
陽子の隣で、鼻声の朱実。
陽子の顔の下では、鼻水を啜る楓。
通路を挟んで隣の席では男子、黙ったままで…。
けれども、慎二と智志は、お互い目を真っ赤にして…。
2人とも、静かにそしてお互いの拳を合わせる。
前の席では大輔がじっとバスの天井を見つめて、
ふいに通路を挟んで隣の席の楓を見る。
そして、後ろの陽子と朱実を見て…、
立ち上がって後ろの慎二と智志を見て、握りこぶしに親指を立てる。
そして、3人とにっこり…。
「へぇ~~、そんな事あったんだ~、今年の夏に…???」
楓の頭を優しく撫でながらの相磯。
そんな相磯に…、鼻にハンカチを押しながら、楓。
「へへ…、うん。」
「そう言えば…。」
いきなりシートから身を乗り出して慎二。
「大!!!」
※※※※※※※※※※※※※