身体をまっすぐに…、そして顔を健介の顔と逆方向に向き、 「はぁ…。…ん…。」
「紗友…おま…。」
顔を別の方に向けても…涙は流れてくる。
右手で拭っても…、それでも…。
そしてまた両膝の中に顔を埋めて…、肩を震わせながら…。
「…うっ…、うっ…。」
紗友莉の背中をさすりながら…、
「紗友…莉…。」
「ごめん…。本当にごめん健介。」
今度は少ししっかりとした声で…。
「…私…健介以外の人と、今まで…付き合っていた。…ごめんね…。」
「俺以外の…???」
「…そう…、でも…健介も知っている人…。」
「…俺も…???」
その瞬間、健介の頭に浮かんだのが、
紗友莉の机にあった雑誌のあの…顔…。
「まさか…、紗友…、おま…、あの…デザイナーと…???」
「……。」
「そっか…。そうだったか…。」
そう言いながら健介は紗友莉を見ていた目を…、
今度は前を向いて…。
「そっか…、おま…あのデザイナー、ジミーと…。」
紗友莉がゆっくりと顔を上げて、頬を伝う涙を右手で、
左手で拭って、そして鼻水を啜って…。今度は、また掠れた声で…。
「…ん…。…でも…、ダメだった…。うっ…。」
「…ん…???」
「彼に…、婚約者…いた…。それでも彼…、日本でも別の女性と…。私なんて…、太刀打ち…。」
そう言った途端に、自分が惨めになり…。
「ばかだよわたし…。」
「…ん…???」
「そんなジミーさんと、別れた後に、今度は…、優しくしてくれた…人に…今度は…。」
「優しく…された人…???」
「…ん…。」
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