それでも紗友莉はスマホを触ろうともしない。 そして、それから数分後。
ドアの暗証番号の画面に4桁の番号が表示され、ロックが解除された音。
静かにドアを開け、部屋の中に入る健介…。
膝を抱えている紗友莉を見て、
「紗友…、おま…。…一体、何が、どうしちまったってんだよ、え~???」
両膝に顔を埋めている紗友莉。中々顔を上げようとしない。
けれども、やがて健介から肩をさすられ…。
「紗友…。」
健介も紗友莉の傍に座り…。涙でぐしゃぐしゃになった顔を起こして、
小さな掠れ声で…、
「けん…すけ…。」
そういう紗友莉を、
「なに、やってんだよお前…。」
そう言いながら紗友莉の左肩に左腕を回し、抱き寄せる健介…。
そうされながら、また紗友莉は健介から抱き締められながら、泣き出す。
「けん…すけ…、けん…すけ…。」
そして、少し間を置き、また小さな声で…、
「ごめんね…。」
泣き声の間に、ポツリと声に出した言葉。
そのままの状態で、
「…ん…???…一体…何…???」
数秒の間を開け、その後、ゆっくりと健介の左腕を自分で解き、
また小さな声で、
「けんすけ…。」
思いっ切り鼻水を啜り…。
健介が…、
「…ん…???」
「…わたし…、けんすけを…、」
「…ん…???俺を…???」
「…けんすけを…、うらぎってた…。」
「……。」
「わたし…。ほかのひとと…。」
「…ん…、紗友…。」
「ごめん…な…さい。けんすけの…しらないあいだに…。」
「…ん…??? 俺の…???」
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