電話の向こう…、沈黙…。 「おい、紗友。紗友莉!」
「……。」
「…ったく~今度は、だんまりかよ~おいおい!」
その時、電話の向こうで小さな泣き声。
「…ん???…泣いてんのか…???おい…紗友…!!!」
「…ん…、ん…。」
「なんだよ、なにやってんだよ、おま…。紗友!!!」
健介の声を聞いただけで、自然に…涙が溢れて、頬伝う紗友莉。
「…ん…、ん…。はぁ…、ん…。けん…。あ…、ん…。わた…。ん…。」
「紗友ッ!紗友ッ!!!」
「あ゛―――ッ!」
その泣き声が聞こえた瞬間…、プツリと…電話は…切れる。
「おいおいおいおい、なんだってんだよ、おい!!!!」
プツリと切れたスマホの画面にそう言い放ち、
立ち上がり、空を殴りつけるように…。
そして、直ぐ様上着を肩に部屋の玄関に向かい、外に出て、通りに出る。
タイミング良くタクシーを拾い、運転手に行き先を告げ、
夜の東京、車の流れに紛れて行く。
パジャマ姿に、洗い髪のまま絨毯に両足を伸ばし、
ベッドサイドに背中を付けたままの紗友莉。
目を赤く染め、鼻先も赤く染め、そして、ゆっくりと両膝を起こし、
両腕で抱き、顔を埋める。
そうしている内に、玄関のチャイムが鳴る。2回、3回…。
両膝に埋めた顔を上げ…、
「健介…。」
と、一つぽつり。
けれど…、それ以上、言葉が出ない。
部屋の外では健介が、チャイムを押した指を放し、
スマホを取り出しメール送信。
ベッドのライトと机のスタンドの灯りだけの仄暗い部屋の中で、
紗友莉のスマホにメールが受信される。
「健介…。」
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