「紗友…、何かあったの…???あなたなら…知ってるんじゃ…???」 「えっ…俺が…???いや…、全く……見当も…???」
と、淑子の声に健介…。
「あなたが、会議に行ってくるって、部屋を出た後、紗友…泣いてたのよ。」
「泣いて…???」
「うん。理由は全く分からなかったけど…、最初はテーブルに抱えていた雑誌の入った紙袋をバサッと置いて、両手を着いて、髪をダラリとさせて…。」
「……。」
「そうしたと思ったら、今度は自分の机の上で両腕に顔を埋めて…泣いてたのよ。」
「……。あい…つ…が…???」
「私が…どうしたの…なんで泣いてるのって、聞いても、何でもない、何でもないって…。…で、トイレに行って、戻ってきたらもう…仕事仕事って、あの調子…。」
「……。あいつ…、な~にを…???」
顔を少し低くして淑子、健介の顔を下から覗く様に…。
「…健介…、ほ~んとに…知らない…の…???」
「えっ…???俺が…???知る訳ないじゃん。…ったく…、どうしちゃったってんだよ。こっちが聞きたいくらいだ…。…やれやれ…。」
帰り道。歩いていても、電車の中でも、顔はうつむいたまま。時折ため息をつき。
そして、それと同時にまた目頭が熱くなり、自然に涙が頬を伝う。
それを何気に右手で拭いながら…紗友莉。
夕方のラッシュ時、ホームに降り、力なしに人の波に飲まれるように…。
誰かが自分の肩にぶつかったとしても、
余り感じないように…。
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