重い足取りで廊下を歩き、下を向きながら静かにドアを開き、 アトリエの中に足を進める。
その胸には雑誌の入っている紙袋を両手で抱き締めて…。
「…ん…???おかえり紗友…。お昼…済んだんだ???…どしたの…その顔…???」
健介と交替でお昼を外で済ませてきた紗友莉。
「…ん…、食べた。…うん。…別に…。何でもない。」
「ふん…、そっか…。んじゃ…俺…これから会議…。」
そう言って、今アトリエに入って来た紗友莉と入れ替わるように上着を肩に、
ドアに向かう健介。
「…あっ、うん、行ってらっしゃい。」
ドアの向こうに消えて、足音が遠ざかる。
テーブルに持っていた紙袋をバサッと置いて、
両手を着く紗友莉。
その紙袋に、ひと粒、そしてひと粒と…。
「…健介…まさか…、なんで…。そんな…事って…。」
そう言いながら、ゆっくりと顔を上げる紗友莉。
そして頬を伝わる涙を両手指先で拭いながら…。
何処をどう見れば良いのか、分からなかった。
それからゆっくりと自分の机に向かい椅子に座り、
仕事用の写真とファッション雑誌の写真を見ながら…、
「…もう…私…、無理じゃん…これじゃ…。」
ゆっくりと机の上に両腕を置いて、その上に顔を埋める紗友莉。
そんな様子をアトリエの隅で見ていた三枝淑子が、
紗友莉の肩を撫で、
「紗友…、どうしたのあなた…???何か…???」
「…ん…???あっ…、淑子…、へへ…何でもない。」
「…何でもないって…、泣いてんじゃない…???」
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