「でもね、奈津子さん。片倉君は、私たちと同じ職員ですよ。これは変りありません。」 「でも…どうして…、奈々子の事…黙ってたんですか…店長???」
「簡単な事です。普段着のままでいて欲しかったんです。」
「普段…着…のまま…???」
「初めてここに来た片倉君は、モデル志望ではありましたが、まだ芽が出てなかった。苦しんでいた。何とかアルバイトでもしながらの生活だったんです。ここも、レジ係りの望月さんが辞めてしまい、何とか人手が欲しかった。その時、ある筋から紹介されたのが片倉君でした。派手でした。けれども、目がとにかく澄んでいた。そして真っ直ぐだった。ある意味…私も…一目惚れでした。」
「…ぷっ…。」
と、奈津子。
「地味な仕事だよ。今の君には似合わないんじゃ…。そう言ったんですけど…。やらせて下さい。お願いします。礼儀がしっかりしていた。…でも、モデルは…、続けさせて下さい。…ってね。とにかく真っ直ぐだった。…でも、一つだけ、今の君のその恰好だけは…何とかして下さい。周囲にも何かしら影響しちゃうから…。…って言ったら、勤務初日に…、あの恰好。」
「そんな…事が…。」
「私も驚いたくらいです。全くの別人。…でも、彼女は頑張ってくれた。…いや…頑張ってくれているよ。本当の自分を隠しながらも…。」
「…そう…だったんだ…。そんな…事が…あったんだ。」
「そうですか…、あの…必死に…モデルになりたかった彼女が…。」
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