ゆっくりと足を進める方向に、ひとりの男性がゆっくりとバルコニーへ。 その男性とすれ違いざまに、組んだ腕の右腕を男性に向けて、
何故かしら合図代わりに…。
「じゃ…、後は頼んだわよ。」
そんな風な雰囲気を男性に投げ掛けた感じで…。
その合図で、男性はチラリと彼女の後姿を横目で窺った程度で、
小さく顔を振り、わずかに下向きの顔を今度は真っ直ぐに前方へ…、
そしてゆっくりと紗友莉の顔に目を向け、
ズボンのポケットに両手を入れながら、
バルコニーの手すりの前で止まり、
両手をポケットに入れたまま、ゆっくりと背伸びをする。
そして背伸びした後は、夜の街の灯りを見ながら、今度は、
「ホゥ…。」
と、息を吐いて、両手をポケットから出して、
今度は右手で頭の後ろを掻く。そして、
「ふふ…やれやれ…、とんだピエロだ。」
と、クスクスと笑いながら一言。
そんな男性の一通りを見て、少し顔を下向きにしたままで、
男性を横目で見る紗友莉。
「あのぅ…。」
「あっ、ごめん。気分…壊しちゃったかな…。」
「…いえ…別に…。でも…何だか…。」
「…ん…、まぁ…、そりゃ…ショック…だよな。こういう場違いなトコ来ちゃって、思わぬ事に出くわして…。」
紗友莉は黙ったままで…。
「彼女の話…聞いた…んだろ…???」
「えっ…???」
「遥子の話…。」
「あの人…遥子…さん。大沢…って…。」
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