「だって…、ね…、私…、こ~んな感じなんだよ、周りの男性になんて…。」 「シ――ッ!それ以上は…言わない。」
「えっ…???」
そして、静かに、健介が奈々子の顔に近づいて囁き掛ける。
「ひとりの女性が、自分を変えてまで、自分を表現しなければならない状況、あるのかも知れない…。」
その言葉を聞いた瞬間に、奈々子が…、
「えっ…???」
「なんて、言うのかな…。何かを守らなければならない理由。それも…、とてつもなく大きな何か…。」
奈々子には、奈々子自身、とてつもなく大きなものを、
守らねばならない理由などなかったのだが、別の意味では、
「なんとか世に認めてもらいたいモデルになる。」そういう理由は…確かにあった。
でも、これだけは…他人にどう話しても…、所詮は自分の未来像ではあった。
けれども、自分の今このスタイルを見て、
そんな事まで言ってくれる健介に、こころの中で…、
「ありがとう…。」
そう呟いていた。
そしてその呟きが、自然に口元に現れた。
何とも嬉しい表情が奈々子の口元に現れたのである。
そんな奈々子の表情を見て、健介も…。
「そうそう…、それで良いよ片倉さん。俺…、いや…僕は本当の君の顔を知っている。多分…、その時になれば、君から、その顔になってくれるんじゃないかな…。」
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