「刈谷さん。ああ見えて、結構…人を見る目…あるからね~!」 「そういう意味じゃ…先に亜矢子に感謝しなきゃいけないんだけどね…。」
「いいわよ…そんな…あらたまって…。」
刈谷純次、奈々子の勤務する成文堂の店長であるが、
カストロ髭の少し渋めの顔立ちではあるが、
実に人間味のある人物である。
ジャズと釣りが趣味の男性、大学生の子供がいる。
刈谷自身、大学時代に一度は結婚して子供を儲けたが、
海外に目を向けた妻との生活リズムが合わなくなり、遂には離婚。
その後、出版会社に勤務した後、もっとのんびりした生活を…と、
出版会社の上司の紹介で書店勤務となり、今に至る。
かつては作家としても食って行けるほどの才能の持ち主で、
しかも編集長としても候補に上がった人物でもある。
そんな刈谷にあるとき、結婚を機に書店の勤務を辞めたいと言う店員。
その欠員補填に片倉奈々子が紹介されたのである。
…で、紹介したのが奈々子の親友、池谷亜矢子である。
元々亜矢子の勤務している広告会社の、
仲の良い女性先輩の知り合いが刈谷であり、
何処かに書店の店員でも働いてくれる女性はいないかと、
相談を受けていたのだ。
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