その声を聞いた瞬間に…、 「あ~今~…。」
と、同時に、紗友莉の場所からすぐ近くの会議室のドアが開き、
メーカーの担当者が顔を出した。
「あっ、ごめん、ごめん…今…忙しそうだね、じゃ…また…電話するね。」
メーカーの担当者が他の男性と握手をして挨拶をした後、
紗友莉の方へ顔を向き、右手で紗友莉に合図をする。
「すみません…じゃ、また…。」
電話を切り、椅子から立ち上がり担当者の辺見に挨拶をする。
「ごめん、ごめん紗友ちゃん、待たせちゃったね。」
「いえいえ…、コチラこそ…忙しいところ…ありがとうございます。」
「じゃ…紗友ちゃん…、こっち…いいかな…。」
「はい、お願いします。」
そう言いながらサンプルを持ち、辺見の案内に従う紗友莉。
昼食を終え、コーヒーを飲みながら窓の外を眺め、
一枚の写真を見て、少し物思いに耽る健介。
「…この顔…。お袋…。」
実は、健介の母親は九州の長崎で、旅館を経営している。
つまりは旅館の女将である。
その女将の下で副社長となっているのが健介の兄、雄介である。
兄弟2人で、小さい頃から旅館の中で育ってきた。
父親の松下雄大が元々は旅館の経営者ではあったが、
借金苦で病死。
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