「…ん…、分かってるよ…そんな事…。」 真子からいきなり「12年よ。」と、
電話口で突き付けられ、紗友莉も一瞬、胸の鼓動が高鳴ったのだが…、
あの時のインプレッションは今まで経験した事のないものだっただけに…、
真子にはぶっきら棒に答えるしかなかった。
あの…初めて見る異性から、
余りにも自然にエスコートしてくれるかのように手を差し出されて、
その異性の手を握った瞬間。
「この人…まさか私を…。」紗友莉のその時の状況は、
何とかその場で立っていられるかと言う感じだったのである。
しかも…そのすぐ傍に健介がいる事を承知の上で…。
そして、それを健介も気付かずにいたのだった。
「紗友、紗友ッ!」
わずか数秒ではあったが、真子との会話が途切れていた。
「…ん…???あっ…、ごめ~ん真子…。んんん…大丈夫。」
「大丈夫…じゃな~い。あんたの今の沈黙が…全てだね…。ふ~やれやれ…。健ちゃんと言う人がいながら…。けど…もう…12年だもんね…あんたたち…。まっ…、火傷しようが、そんなに深刻に悩む事じゃないか…。」
「バカ。」
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