そんな愛子の胸騒ぎは見事に的中したのだった。 リビングのキャビネットの写真が倒れていた事。
そして活けたばかりの花がポトリとテーブルに落ちた事。
「まさか…あれって…モコ…。」
ドアに背を付け、目に飛び込んできた川岸の姿と生気のない基子の顔に、
一気に心臓の鼓動が高鳴り、それと同時にいきなり瞼に涙が溢れ、
頬を伝った。右手で口を押え、ようやく足をベッドに進める事が出来た。
そんな愛子の姿を見て、看護師が愛子をベッドに迎え入れ、
静かにドア越しに進み、病室を後にした。
口に当てた右手を伝う涙…、涙を拭う事もなく、静かに…、
「モコ…。モコ…、モコ…、モコ――。」
そしてゆっくりと体を戻す川岸。涙でぐしゃぐしゃになった顔のままで…、
「こんなことって…。なんで…だよ。」
掛布団の上から基子の足の部分を左手で撫でる愛子。
そこから上に上がって、今度は、基子の右頬を優しく撫でながら…、
「モコ…。こんなになっちゃって…。どうして…、どうして…。」
※※※※※※※※※※※※※
- 花 カサブランカ 花束

- ¥5,400
- 楽天