涙が容赦なく、川岸、そして愛子の、 2人の頬を苛め尽くしていた。
まさか、こんな短い期間に大切な人を、
2人も失うと言う哀しみに遭遇するこの現実。
幾ら新谷栄二と言う掛け替えのない人を失って、
哀しみの淵に突き落とされたと言って、
それでも立ち直り、「何とかやれる…。」
そんな風に思っていた矢先の不運である。
しかも、新谷栄二も突然の事故での死であれば、
川岸基子にしても、医師さえ納得できないと言う突然の死である。
確かに急性骨髄性白血病と言う生存率の低い病と言えども、
最悪でも骨髄移植で生き永らえた人もいるのである。
確立が低くとも、生きる希望はあると前向きに考え、
その踏み出しと言っても良いくらいに、
川岸の課長昇進と言う喜ばしい栄誉まで受けたのである。
愛子にしても、失ってみて、残されたものをもう失いたくない、
それを大切に自分の財産として慈しんで行きたい、
と考えるようになったのである。
そんな希望が今…。
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