空海を知る12 山岳修行③ 熊野~日光~観音の地 | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

絵本に関わり、早や40年。
ママと子が一緒に楽しめる絵本を4冊、工作本も出版!
絵本作家しか知らない、絵本の創り方、絵の技法、親子で作るキッズアート大公開
描いて、読んで、親子で絵本を10倍楽しもう♪

空海を知る12 山岳修行③
熊野~日光~観音の地

 空海は、大峰奥駆の厳しい道を熊野に抜けていきました。

 空海は、先輩で日光を開山した勝道上人のために、、日光山が観音の浄土(補陀洛山ふだらくざん)であると書いています。
空海の時代にすでに、補陀洛(ふだらく)信仰が行われていたことが分かります。

「日光(にっこう)」は後世の当て字で、もともとは「二荒(にこう、ふたら)」で「補陀洛」(ふだらく、ポータラカ(観音の聖山))」の意味でした

 熊野には古くから海上他界の信仰があり、漁師たちは、は死者を舟に乗せ水葬にして海の彼方の「常世」に送っていました。
熊野の海の向こうには浄土があるのです。

 

熊野は、山々が幾重にも重なる奥まった地形の意味で、伊弉冉尊(イザナミノミコト)の葬送地の伝説があり、熊野の山々も、古来、「黄泉の国」や「根の国」つまり死者の霊が行くべき「他界」だとみなされました。

「常世」「黄泉の国」「他界」という異次元の地は、死者を浄化する聖地であることも意味しています。

 熊野の深い山中での「擬死再生」(山中で一度死に蘇って帰る)の体験を積む熊野修験が盛んになります。

法皇や上皇や皇族が「蟻の熊野詣」を行う際にも道中修験者の作法に従い、祓いや(水)垢離で身心を清め、王子社に御幣を納め経供養を行うようになります。

熊野は聖地としては珍しく、老若男女、身分、出家在家の区別なく参拝する人を拒まないのです。
ハンセン病の人まで受け入れ、すべての人を救おうとする地でした。

熊野の信仰は、エリート集団である南都仏教に疑念を抱く真魚に、感動をもたらしたと思われます。

この「死と再生」~臨死再生システムは、四国(死国)に伝わります。
そして、吉野~熊野への修験の道「辺路(へんろ)」は、やがて四国88か所の「お遍路」に繋がるのです。

和歌山の南、温暖な海辺の行場は、温暖な四国が育んだ自らのネイティブスピリチュアリティーを呼び覚ましました。

大自然との強い一体感を引っさげて、真魚はついに故郷の四国に渡る決意をかためたのでした。