空海を知る13 四国山岳修行~虚空蔵求聞持法
山岳修行も進み、真魚の五体はさらに鍛えられ、驚異的な速さで山林を移動できるようになりました。

また、五感が鋭敏になり、風や水の音も鳥や獣の声もすべてが真魚の中でひとつになります。
真魚の声の響きが変わり、真言や読経の声は冴え冴えと、山に谷に響き割ったことでしょう。
この山には、東西南北の「舎心ヶ嶽」がありますが、「捨身」のことです。行場の岩場から行者が谷に身を投げることです。
わが身を神仏に供物としてささげ、神仏のお使いになるという信仰もありました

『三教指帰』(さんごうしき、さんごうしいき)に、山頂の太龍岳で、真魚が命がけの修行をしたことが描かれています。

この修行が、虚空蔵求聞持法です。(この修行を室戸岬など、場所を変えて何度も試みています)
ノウボウ アキャシャギャラバヤ オン マリ キャ マリ ボリ ソワカ
千仭の谷を見下ろす岩に坐って、虚空蔵ノマントラを唱えるとき、谷底に向って落下しながら、虚空蔵菩薩と一体と化して空中に浮遊する感覚(一種の幽体離脱)を体験したかもしれません。


室戸では、明星(虚空蔵菩薩のシンボル)が虚空蔵菩薩の真言を唱えつづける空海の口に飛びこみました。

山岳修行は、そのような霊験をめざす、神秘主義的な傾向にあったのです。
それは、真言密教にも引き継がれている面があると感じます。
