若者はなぜ従順になったのか? | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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「最近の若者は素直だ」「感じのいい若者が増えた」などと最近よく耳にするようになった。その反面、「最近の若者はおとなしすぎる」「従順すぎて張り合いがない」「自分の若いときは大人に反抗したものだ」などと言う人もいるようだ。



私はこういった決めつけには懐疑的でありたいと思っているものの、実際、自分の経験から言っても、そういった傾向がたしかにある。「そんなことはない」という意見もあるとは思うが、ここは強引に「最近の若者は昔より従順だ」と決めつけたうえで、なぜそうなったのかを考えてみたい。



ある年齢層が以前より従順になったとすれば、おおざっぱに2つの可能性が考えられる。



1つめは従順に見えているだけで、実際は自分の意見を持っており、表向きだけ従順に見せているだけという場合だ。このケースでは、若者が良くも悪くもおとなであって、うまく立ち回っているだけということになる。



もう1つは本当に従順になったという場合だ。こちらは誰もが最初に考えるだろう。



では、現在の若者はどちらに当てはまるのだろうか。



この問いには「その両面がある」と応えるべきだろう。というのは、従順であるため必要なのは従順さだけではないからである。



たとえば、おとなから注意されたときに自分の非を認めて素直にそれに従うという行為には、この両面が必要だ。自分の非を認めるにはそれを受け入れる度量や精神的な成熟と、非を認めてそれを改めるという素直さの両方が揃ってなければならない。



最近の若者が本当に従順な傾向があるとすれば、若さ特有の反抗心を抑える心構えが早くにできるようになったからではないだろうか。



では、懐疑的な意見もあるだろうが、ここまでを前提にさらに邪推を上乗せしていく。





人間関係は経済関係にかなり影響を受ける。たとえば、大企業の担当者は、概して下請けの担当者に対して偉そうなものだ。自分が所属する会社が相手先より経済的に優位なだけで、当人たちの人格や能力などは関係ないのだから、見ようによってはおかしな現象だ。



実は、親子関係も経済関係に左右されている。親の収入で子供を養っている場合、少なくとも最後の最後の決定権は親のほうにあることが多い。もし親が無収入で子供の収入に頼るようになれば、今度は決定権が子供にシフトしていく。



そんなこと言うと、「親の情」「血のつながり」など経済以外の要素を強調したくなるのは当然だし、それを否定するつもりはない。ただ、実際にまわりを見わたしても、子供が経済的に独立してしまうと、親が子供を手元に置きたくても、子供はおおかた生活も独立させようとしたがるものだ。そういった傾向があるのは否めないだろう。



子供が「金だけ出して、口を出すな」と内心思っていても、親としては「金を出したんだから、口も出させろ」と言いたくなるだろう。そして、そのとおり、多くの場合において、経済的に優位なほうが実際の立場も優位になる。



もし若者が以前より従順になったとすれば、親(あるいは、場合によっては祖父母)の経済的な優位が以前より強まったが理由である可能性も考慮すべきだろう。



現在、日本では世代間格差が叫ばれている。たとえば、60歳以上の人口は全体の約3割くらいなのだが、個人資産の7割以上はこの世代が保有しいていると見られている。人口の約12%を占める50~59歳まで入れると、なんと占有率は9割にのぼってしまう(ただし、この数字は何を資産として見るか上下する)。





これは、世代をさかのぼるほど人口が多く、収入が高かったうえに、デフレが長引いたせいで、貯蓄するほどに得だったことが影響している。デフレだと、今使うよりできれだけ待ってあとで使ったほうが得なので、そのまま貯金として貯めこんだためである。



収入の高い層が使わないで貯めこんでしまうと、若い世代にお金がまわらず、若年層ほど貧しくなる。そのあおりを受けて世代間格差が広がってしまったわけだ。



親に反発するためには、それだけの覚悟が必要だ。その覚悟を裏づけるのが「たとえ家を追い出されても、自力で職を見つけて生活できる」という自信である。だから、高度成長期の若者は、親に対しても自己主張を通しやすかった。また、実際、家を出て事業で成功する若者もたくさんいた。



ところが、現在のように若者の就職が大変で、就職できたとしてもなかなか給料が上がらないという状態になると、親に反発するのが難しくなる。



もしかしたらその若者は自分のビジネスをして成功できるポテンシャルがあるかもしれないが、スタートラインに立つためにはある程度の経験や人脈やお金が必要である。いきなり家を出てなんとかなるという時代ではなくなりつつある。



だから、親と意見がぶつかったときも、自分の意見と折り合いを付けながらなんとか一緒に生活するほうを選択せざるをえない。



親子とは言っても少なくとも親が自分を生んだときの年齢差があり、価値観はそれなりに違うのが当然である。だから、そりが合わないのも当たり前なのだが、経済的に独立できないとなれば、自分のほうがおとなになって、なんとか立ち回るしかない。



それはそれでいいのだが、実はこれは今後の社会に与える影響が小さくない。というのは、日本経済が発展していくためには、若者の新たな挑戦が不可欠だからである。





若者の挑戦というものは、「食べていくのが精一杯」のレベルでもじゅうぶん成功で、大成功のレベルまでいくのはなかなか難しい。今の時代であればなおさらである。



イノベーションは進化論である。たくさんの変化の中で、たまたま社会の変化に適した「それ」が奇跡的な拡がりを見せて、大きな進化を促す。



わずかしかない大成功が、社会の流れを大きく変え、日本を豊かにしていく。若者が挑戦しなくなれば、日本には過去の延長しかなくなってしまう。



私たちに必要なのは「最近の若者はおとなしい」などと嘆くのではなく、若者の自己主張を発揮できるしくみを作ることである。



もちろん、若者の挑戦の多くは失敗するだろう。だが、その中のわずかの成功が次の未来を形作っていく。



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