それだけだとあんまりなので、「マンション価格の今後」について自分なりの考えを述べて、その返事に代えられればと思う。言うまでもなく、あくまで素人の独断に基づく私見である。
前回の記事で書いたのは、簡単に言えば「社会が高齢化すると便利なところに住みたい人が増えるので、都心の地価が上がり、郊外や地方の駅から遠いところの地価が下がる」といった内容だった。前回も書いたとおり、「地方再生」においても、結局は中核となる都市に人を集めて、コンパクトシティ化するというのが基本になる。
この点は東京だろうが地方都市だろうが、基本的に同じだ。
ところが、最近、「今のマンション価格はバブルだ」という情報がさかんに報じられるようになって「本当にこのまま上がるのか?」と疑問を持つ人が増えている。上のご質問者もおそらくそれをご覧になったのではないだろうか。
では、現在は本当に「マンションバブル」の状態にあるのだろうか。
それを考えるうえでまず留意しなければならないのは、現在の地価高騰は1980代後半から90年代前半までのバブル経済期のときとは、環境や条件が違っていることだ。
ところが、最近、「今のマンション価格はバブルだ」という情報がさかんに報じられるようになって「本当にこのまま上がるのか?」と疑問を持つ人が増えている。上のご質問者もおそらくそれをご覧になったのではないだろうか。
では、現在は本当に「マンションバブル」の状態にあるのだろうか。
それを考えるうえでまず留意しなければならないのは、現在の地価高騰は1980代後半から90年代前半までのバブル経済期のときとは、環境や条件が違っていることだ。
当時と違っている点はいくつもあるのだが、とくに大事な点は2つある。
1つはバブル経済期は日本の土地全体が上がったが、今回はあくまで都心、とくに首都圏と関西の都心か高級住宅地、しかも一軒家ではなくマンション(しかも新築か築浅)が中心であることだ。
もう1つは商業地区が住宅地ほど上がっていないということである。もちろん千代田区や港区のオフィス街や新幹線の通った金沢駅周辺など一部に上げ方の大きいところもあるが、基本的には都心マンションほどの上がり方ではなく、賃料も大きくは上がっていない。
前者についてはすでに述べたように高齢化による「一軒家→マンション」の移動が増えたからだが、後者についてなぜこのようなことが起こるかを考えるときには、千代田区が制定したある建築条例が良いヒントになるかもしれない。
その条例とは、ごく簡単に言えば、千代田区に大きなビルを建てる場合、それに対応して人が住める住宅も建てなければならないというものである。もっと単純化して言えば、大型ビルを建てる場合は、同時に定住マンションを建てる計画を出さなければならないという条例だ。
これは人口減やIT化でとくに中小企業のオフィス需要が減ってきていることに対応したものではないだろうか。千代田区とは言え、法人からの収入が減っているので、そのぶんを住民税で補わざるをえない。つまり、会社が減っているから住民を増やすという方策なのだろう。
これは、千代田区全体の商業地区・オフィス街としての需要はさほど高まっておらず、他方、住宅地としての需要が大きく高まっていることを意味している。
1980年後半のバブル経済期はオフィス需要も大きく地価も賃料も上がったが、今回はそうはなっていない。その代わりに都心の住宅としての需要が高まっているので、住宅地としての地価は上がっているというわけである。
現在のオフィス街と住宅地の地価はかなり乖離している。たとえば千代田区で言えば、日本屈指の高級住宅地である三番町の1平米あたりの平均地価は300万円前後と言われるが、日本一のオフィス街である丸の内は、公示価格の平均でも2000万円をはるかに超えて、住宅地とは比べものにならないほど桁違いに高い。
この差が埋まることはないだろうが、少なくとも都心の住宅地としての価値は高まってきているので、おおざっぱにその差が埋まる方向に動いているとは言えるだろう。
今起こっている都心マンションの高騰は、単純なバブルなのではなく、都心の住宅地化=脱商業地区・脱オフィス化の面もある。だからこそ、少なくとも80年代後半のバブル経済期のように、単純な平均価格で今が適性であるとかバブルであるとかを判定できないわけだ。
ただし、「都心ではありながら、便利な場所でもないのに上がっているところはバブルの可能性がある」ということは見逃してはならないだろう。この場合に便利さを図るのはあくまで鉄道・地下鉄である。バス路線や高速道路などは除外される。
なぜなら、東京は(いや、日本のほとんどの大都市が)自動車ではなく鉄道での移動を中心に形成されており、自動車でのアクセスの便利さは二の次になるからである。だからこそ都心が評価されるわけで、もしアメリカのロサンゼルスのような自動車でのアクセスが鉄道より優先される時代が来れば、郊外の地価が上がることになるが、さすがにそうなることは考えにくい。
なお、中央区や江東区の臨海地区は景色の良い高層マンションが建てやすく、また東京オリンピックの会場にもなっているために地価上昇のスピードが速いが、鉄道網の整備の点はもう一歩である。だから、高層マンションがさらに増えれば、もともとオフィス街としてはさほど高い需要があるわけではない臨海地区の「過大評価」=「バブル」はありうる。
もちろん、これについてももう少し時間が経ってみないとわからない面がある。
たとえば、豊洲は今後、地下鉄の有楽町線を中心に鉄道アクセスを高める計画がある。これが成就するのが確定であれば、今の地価も「妥当」あるいは「さらに有望」という評価になるだろうし、うまくいないのであれば「過大評価」ということになる。
東京都心の場合、すべては鉄道アクセス次第である。バブル経済期であれば駅から近かろうが遠かろうが上がっていたのであるが、今回の「バブル」はそういうことにはならないだろう。これは高級住宅街であっても同じだ。
これは東京のような鉄道移動を中心とした都市の宿命と言ってもいいかもしれない。


Image(s): FreeDigitalPhotos.net
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1つはバブル経済期は日本の土地全体が上がったが、今回はあくまで都心、とくに首都圏と関西の都心か高級住宅地、しかも一軒家ではなくマンション(しかも新築か築浅)が中心であることだ。
もう1つは商業地区が住宅地ほど上がっていないということである。もちろん千代田区や港区のオフィス街や新幹線の通った金沢駅周辺など一部に上げ方の大きいところもあるが、基本的には都心マンションほどの上がり方ではなく、賃料も大きくは上がっていない。
前者についてはすでに述べたように高齢化による「一軒家→マンション」の移動が増えたからだが、後者についてなぜこのようなことが起こるかを考えるときには、千代田区が制定したある建築条例が良いヒントになるかもしれない。
その条例とは、ごく簡単に言えば、千代田区に大きなビルを建てる場合、それに対応して人が住める住宅も建てなければならないというものである。もっと単純化して言えば、大型ビルを建てる場合は、同時に定住マンションを建てる計画を出さなければならないという条例だ。
これは人口減やIT化でとくに中小企業のオフィス需要が減ってきていることに対応したものではないだろうか。千代田区とは言え、法人からの収入が減っているので、そのぶんを住民税で補わざるをえない。つまり、会社が減っているから住民を増やすという方策なのだろう。
これは、千代田区全体の商業地区・オフィス街としての需要はさほど高まっておらず、他方、住宅地としての需要が大きく高まっていることを意味している。
1980年後半のバブル経済期はオフィス需要も大きく地価も賃料も上がったが、今回はそうはなっていない。その代わりに都心の住宅としての需要が高まっているので、住宅地としての地価は上がっているというわけである。
現在のオフィス街と住宅地の地価はかなり乖離している。たとえば千代田区で言えば、日本屈指の高級住宅地である三番町の1平米あたりの平均地価は300万円前後と言われるが、日本一のオフィス街である丸の内は、公示価格の平均でも2000万円をはるかに超えて、住宅地とは比べものにならないほど桁違いに高い。
この差が埋まることはないだろうが、少なくとも都心の住宅地としての価値は高まってきているので、おおざっぱにその差が埋まる方向に動いているとは言えるだろう。
今起こっている都心マンションの高騰は、単純なバブルなのではなく、都心の住宅地化=脱商業地区・脱オフィス化の面もある。だからこそ、少なくとも80年代後半のバブル経済期のように、単純な平均価格で今が適性であるとかバブルであるとかを判定できないわけだ。
ただし、「都心ではありながら、便利な場所でもないのに上がっているところはバブルの可能性がある」ということは見逃してはならないだろう。この場合に便利さを図るのはあくまで鉄道・地下鉄である。バス路線や高速道路などは除外される。
なぜなら、東京は(いや、日本のほとんどの大都市が)自動車ではなく鉄道での移動を中心に形成されており、自動車でのアクセスの便利さは二の次になるからである。だからこそ都心が評価されるわけで、もしアメリカのロサンゼルスのような自動車でのアクセスが鉄道より優先される時代が来れば、郊外の地価が上がることになるが、さすがにそうなることは考えにくい。
なお、中央区や江東区の臨海地区は景色の良い高層マンションが建てやすく、また東京オリンピックの会場にもなっているために地価上昇のスピードが速いが、鉄道網の整備の点はもう一歩である。だから、高層マンションがさらに増えれば、もともとオフィス街としてはさほど高い需要があるわけではない臨海地区の「過大評価」=「バブル」はありうる。
もちろん、これについてももう少し時間が経ってみないとわからない面がある。
たとえば、豊洲は今後、地下鉄の有楽町線を中心に鉄道アクセスを高める計画がある。これが成就するのが確定であれば、今の地価も「妥当」あるいは「さらに有望」という評価になるだろうし、うまくいないのであれば「過大評価」ということになる。
東京都心の場合、すべては鉄道アクセス次第である。バブル経済期であれば駅から近かろうが遠かろうが上がっていたのであるが、今回の「バブル」はそういうことにはならないだろう。これは高級住宅街であっても同じだ。
これは東京のような鉄道移動を中心とした都市の宿命と言ってもいいかもしれない。

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