creativityについては、以前は天才的なひらめきが強調され、独力が大事だと言われてきましたが、最近は少し変わってきました。いろんな考えを持つ複数の人たちが混じり合って作り上げたようほうがより良くなるものであるというのが常識になりつつあります。
筆者は『The Creativity Cure: A Do-It-Yourself Prescription for Happiness』(共著)という「creativityと幸福」という観点を論じたユニークな著書を持つCarrie Barronさんです。
この記事は単語もやさしくなく、表現がやや難解です。私なりに解釈しかみ砕いてご紹介しますが、あんまり自信がないので、ちゃんと内容をつかみたいという方、とくに腕に覚えがある方はぜひ原文に当たってください。
では、実際に読んでいきましょう。
Collaboration is often good for creativity. But be sure to make smart choices about the characteristics of your partner, when you join forces or work alone, how you decide upon who does what and how critique is handled. The right collaborator has an enormous influence on the product and the pleasure of the exchange. If the chemistry is not right, the roles are nebulous, or competitiveness looms, collaborations can be draining. It boils down to knowing whether this person and process brings out the best in you or your work. You have to be honest with yourself. You may dearly love someone who nevertheless is not a good creative partner. It's about how the work gets made.
「協働作業は創造性にプラスになることが多い。だが、チーム作業でもそうでなくても、パートナーの特徴に関して、誰が何をして、どのようにチェック機能を使うかには賢い選択をしよう。適切な協働相手を選ぶと、結果に莫大な影響を与えて、共有を喜びあえる。もし協働が適切でなければ、やるべきことがわかりにくくなり、競争が曖昧なものになって、協働作業が機能しなくなっていくはずだ。つまりそれはこの人物とプロセスが自分や自分の仕事に最高の結果をもたらすかどうかを知ることである。自分に正直であらねばならない。そうでなければ創造的ですばらしいパートナーではない人を評価してしまうかもしれないからだ。それは仕事がどのように作られるかについてである」
すばらしい指摘で私がつけ足すべきようなところは見あたりありませんが、「なぜ自分に正直でなければ、本来評価すべきでない人を評価してしまうのか」という箇所はわかりにくいかもしれせん。
それはあとで考えることにして、次に行きましょう。
Good collaboration is based on trust and the inner freedom that ensues when you come together. Good collaborators are deeply attuned to one another. Ideally, there are unspoken understandings and ways to anticipate the other's state of mind without direct discussion. Maybe you have known your collaborator forever. Some musicians have an established rhythm of creative exchange through improvisation. A band that has played together for a long time is tight, because they can anticipate and respond richly to partners, which fosters a powerful sound. It is also possible to meet someone for the first time but be deeply in sync creatively and able to work effectively.
「適切な協働作業は信頼と内面の自由を土台としており、両者が1つになるときに成立する。優れた協働作業は互いに深く協調しあう。直接話しあわずとも、相手の心内が先回りしてわかるような無言の理解と方法があることが理想だ。協働者とはずっと知り合いだったかもしれない。ミュージシャンの中には即興演奏を通してクリエイティブな交換から音楽を作る人もいる。長いあいだ一緒に演奏してきたバンドがしっかりしているのは、パートナーにしっかり合わせて予測して反応できるからである。それが力強い音を生み出す。初対面の人に合わせることも可能ではあるが、深く創造的に調和し効果を発揮しうるのではない」
わかりにくくなりましたが、ようするに「長い時間を一緒にすごしていれば、互いに言外の理解が進むようになり、調和のとれた協働作業が可能になる」ということです。一緒の時間は長くとったほうがいいよ、と言いたいのでしょう。
ここで述べられている「無言のうちに一致点を見つけて全体で進む」という作業は日本人はわりと得意ですが、英語圏では高度な技だとされています。いわば「日本式チームプレイ」ですが、それをやるにはできるだけ長く同じ時間を過ごすことが効果があると指摘しています。
Another form of collaboration includes an indirect, but significant involvement. Your muse, friend, mentor, or no-longer-living influence may not be directly involved in the project, but his or her "voice" feeds your psychological strength and creative courage. Psychoanalyst Ethel Person (Feeling Strong) wrote about the importance of having a treasured other in your life to bolster creative strivings, whether it is someone in your mind or someone in the flesh. The sense that someone is there for you within or outside, even if they are not hands-on with the effort can make a huge difference for creative output. A great writer, artist or thinker, alive or not can guide you internally. Just remembering things they expressed in their works about living, about creating, or even about you in some deeply felt, magical way moves you forward.
「協働作業のもう1つの形態には、間接的にだが重要な関与の仕方が含まれる。あなたの考えも、友達も、メンターも、あるいは故人となった実力者もプロジェクトには直接は関わらないかもしれないが、パートナーの「声」は精神力と独創的な勇気を高める。精神分析学者のエスル・パーソンは自著『Feeling Strong』で、クリエイティブな努力を高めるために人生で財産となるべきパートナーがいることが大切だと述べた。たとえ心の中に存在しているだけであっても、実存していても。自分の内だろうが外だろうが自分には誰かいると感じることは、それらが努力して継承されずとも、クリエイティブな成果を出すに当たっては大きな違いが起こりうる。偉大な作家も芸術家も思想家も、生きていようが死んでいようが、内面的にあなたを導きうる。生きることに関する、創作に関する、あるいはあなたについて、あなたを先に進めるようないくぶん深く感じられる魔法の方法で、彼らの作品に表現されることをただ覚えよう」
ここもわかりやすくはありませんが、趣旨ははっきりしています。「具体的に目の前に人がいなくても、とにかく『誰か』がいると考えているだけで、creativityが高められる」ということです。
たとえば、ゴッホを敬愛する画家であれば、絵を描くときに、心の中でゴッホと協働作業するだけでもcreativityは高められるというのが筆者の主張です。実在の人物でなくても、あなたが本気で尊敬している誰かであれば、パートナーとしての資格を持ちます。
以前、メンター(目標人物)について、実際に知り合いでなくてもかまわないと触れたことがありますが、それと同様のことを述べていると考えていいでしょう(→過去ログ)。
筆者はさらに、枠を超えた「ランダムさ」の必要性を訴えます。
たとえば、「青果店に行くとアイデアがわいてくる」という人がいます。あるいは、池に浮かぶボールを眺めていてアイデアがわくこともありますし、サイレンを聞いていて歌ができることもあります。
そういったランダムな刺激によってcreativityが高めうることは、本ブログではMichael Michalko氏など何人かの記事を通して紹介しています。
また、ランダムな刺激によってcreativityを高めるには、適切な場で考えられることが必要です。その場さえ整えば、アイデアをつかむチャンスは至るところにあります。そのためにも自分の枠にとどまらず、自分のcreativityを醸成してくれるようなパートナーを見つけることは必要です。
「パートナーとの協働」と言うと、ブレーンストーミングを連想する人もいるでしょうが、ブレーンストーミングが必ずしも機能しないこともあります。それは相手のことを信頼できないときです。
相手を信頼できなければ協働は不可能です。たとえ才能のある人たちが集まっていたとしても、内面をさらけ出すことができず、creativityが発揮されることはないでしょう。
最後になって、話はすこし飛びます。
For many people creativity is a solo affair and the expectation to "speak up" hampers the process. Too much of "others," or not enough time alone, compromises true reflection or creative discovery. Solitude and solo time are less and less a part of our cultural fabric, but more introverted people may require this.
「多くの人にとって、創造は独りでやるべきことであり、「何でも話そう」と考えることがその進行の邪魔になる。「他人」との時間をとりすぎること、あるいは自分たちだけで一緒にいる時間が十分でないことは、真の反省や独創的な発見について妥協することになる。孤独や独りの時間は私たちの文化の一部として機能しなくなっているが、しかし、内省的な人間はそれをもっと必要としている」
何度読んでもよくわからないのですが、おそらく協働相手との時間とは別に、孤独な時間が足りない人がいるということでしょう。協働作業だけではなく、独りで考える時間も必要で、現代はその時間がとりにくいということではないかと思います。
最後の一文です。
When collaborators understand and trust one another deeply they can make great things or make great things happen.
「協働相手がお互いを深く理解し信頼するとき、すばらしいものを作り上げ、すばらしいことを起こしうる」
さて、最初の疑問、「なぜ自分に正直でなければ、本来評価すべきでない人を評価してしまうのか」です。
たとえば、AはXという人物が怖いのに、「あんな奴怖くない」と本心を偽っています。すると、Aは「いや、Xは気をつけたほうがいいよ。Xのための対策を立てよう」というBではなくて、「Xなんて気にしなくていい」というCを評価することになります。
すると、本来なら内心怖がっているXについて対策を立てなければならないのに、自分にとっては取るに足りないYの対策をとる羽目になります。結局、AはXを内心でおびえ続けなければなりません。当然、ものごとがうまくいくはずもありません。
筆者の言う「適切な場」とは「自分が正直でいられる場」のことで、「適切なパートナー」とは「自分が正直でいられる相手」のことです。信頼とはそういうもので、そこから出発しないと協働はうまくいかない、逆にそれができればクリエイティブな果実を生み出すことができるというわけです。
だから、優秀でありクリエイティブである信頼できないパートナーを選ぶくらいなら、自分が心から尊敬できる心のメンターを持ったほうがずっといいということになります。だから、実在にこだわるより、相手への信頼感に筆者はこだわるのだろうと思います。
とても良い内容なのですが、もっとわかりやすく書いてよ、と言いたくなるような記事でした。

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