そこで今回はThe Best Psychology Books For The Workplace(ビジネスに役立つ最高の心理学関係書)という記事を通して、ビジネスなどに役立つ本格的な心理学書を紹介することにしました(→外部記事リンク)。
「心理学」と言っても、心理経済学から脳科学まで幅広いので、相当広い分野にわたります。
日本でもそうですが、アメリカはとくに心理学関係の本が毎日山のように出版されています。どれを読んでいいか選ぶだけでも相当の時間がかかります。そこで専門家にいくつかセレクトしてもらうというのは良いアイデアでしょう。
推薦者のWeinschenk博士は以前「大事なことはメールで言うな!」という記事で紹介しています。なお、言及がなくても翻訳が出ているものがある場合もあるので、念のために翻訳が出ていないか当たってみてください。
さて、Susan Weinschenk博士が選んだ「ベスト心理学書」は?
『Thinking Fast and Slow』Daniel Kahneman, 2011年
コペンハーゲン空港のWHSmithに山のように積んであり、私も思わず買ってしまった1冊です。どれくらい売れたか知りませんが、おそらくとてつもなく売れたのだと思います。2冊本として日本語翻訳も出版されています(→アマゾンへ)。
著者のDaniel Kahneman氏は言うまでもなくノーベル経済学賞の受賞者ですが、この本は経済学からではなく、心理学から解説しています。もし人々がどのように考え、そのように考え反応するかを理解したかったら、本書は必読です。
けっこうボリュームがあり、長時間のフライトの暇つぶしにはちょうどよかったです。
『Redirect』Timothy Wilson, 2011年
生活を大きく、そして永続的に変える方法を知りたかったら、本書がお勧めです。著者はひとの行動を変えるための最新の方法研究について熟知しており、その点が本書に大きく反映されています。
一時的に変わるのは簡単ですが、それを永続させるのが大変です。そのあたりの解説が充実しています。
『Drive』Daniel Pink, 2011年
作家でもあり、アル・ゴア副大統領のブレーンでもあり、日本の漫画の研究家としても有名で、『フリーエージェント社会の到来』や『ハイ・コンセプト』などで日本でもファンが多い、多才なDaniel Pink氏の本です。『モチベーション3.0』という不思議なタイトルで出版されています(→Amazonへ)。もしかしたら2回改訂版したのでしょうか。
最新研究を使って、モチベーションの上げ方について解説します。この方の特徴はとにかく読みやすいことで、ゴア副大統領のスピーチライターをやっていただけあって文章家です。
『The Invisible Gorilla』Chabris and Simon, 2011年
私たちに見えていると思っているものは、実は現実にあるものではない、という話です。人の認識について面白く書いているそうです。
『How We Decide』Jonah Lehrer, 2009年
たいへん話題になった本で批判する人もかなりいましたが、推薦者は絶賛しています。自著でもたびたび引用したと述べています。意志決定について解説した比較的薄い本ですが、たくさんの研究が紹介されており、読み応えがあります(追記:「薄い」と書きましたが、Amazonを見たら300ページありました。薄い印象だったのですが、現実と対応しないですねえ)。
『Strangers to Ourselves: The Adaptive Unconscious』Timothy Wilson, 2004年
無意識についてまじめに考えた本です。同じテーマではMalcolm Gladwellの『Blink』が読みやすく、またWilisonの引用もあるのですが、より深く掘り下げた本として推薦できます。翻訳もあります(→Amazonへ)。
『Stumbling on Happiness』Dan Gilbert, 2007年
とても面白い本ですが、実はタイトルと違って、幸福について扱われているわけでありません。主なテーマは過去の記憶と未来の予測についてです。この本も最新研究がたくさん生かされています。
『Influence: The Psychology of Persuasion』Robert Cialdini, 2006年
数年前に出された本の改訂版です。この本も時期は違いますが、コペンハーゲン空港の同じWHSmithで買って、帰りの飛行機で読みました。すごく面白かったという印象があります。説得力というものについて徹底的に考え、どうやったら相手を説得できるかを驚きの最新研究から語っています。
こういうのを読むと、「だから日本人は欧米にビジネス交渉で勝てないわけだ」と暗澹たる気持ちになります。それにしても同じところで買ったものが2冊でも出てきてびっくりです。
『Brain Rules: 12 Principles For Surviving and Thriving at Work, Home, and School』John Medina, 2009年
いくぶんミスリーディングなところがあるそうです。タイトルだけ見るとアカデミックな感じではなく、実用書だと思うでしょうが、実はかなりアカデミックなアプローチをした脳科学の本です。タイトルに迷わされず、そういったことをわかっていればおすすめです。
日本語翻訳にはなんとDVDがついています(→Amazonへ)。
『Predictably Irrational』Dan Ariely, 2008年
『予想どおりに不合理』のタイトルで日本でも売れまくりました(→Amazonへ)。
見るべきすばらしい点があるが、推薦者には出発点で同意できないとか。というのも、意志決定や心理プロセスが「不合理だ」というのは間違っていると思っているからです。たしかに無意識の行為ではあるけれども、不合理とは言えないそうです。
ということは、本書は無意識的で不合理だと考えているのでしょう。ただ、研究を紹介した部分はすばらしいとも述べています。
以上です。ビッグネームが多いようですが、欧米、とくにアメリカのこの分野の進んだ研究にびっくりして、「日本もこのままじゃまずい」と思ったら、それだけで読んだ価値があったというものです。













