尖閣諸島や竹島や北方領土について、かつては領土獲得への動きをさほど見せてこなかった三国が、最近、かなり露骨に領土的な野心を見せている。
きっかけは鳩山首相の発言である。鳩山首相が何と言ったか覚えている方はいるだろうか?
「日中の間で衝突があったとき、アメリカは安保条約の立場で行動する。しかし(尖閣諸島の)帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と私は理解をしている」と述べたのである。
これはとんでもない発言である。
日本はこれまで尖閣諸島を「日本固有の領土」と主張してきて、中国とこの件で交渉するつもりなどないとつっぱねてきたのに、鳩山首相が「話し合いで決める」と言い放ってしまった。
これ以上のバカな首相を見たことがないし、おそらく見ることもないだろう。
こんなことを言えば、三国がどう反応するかは火を見るより明らかだ。「日本は強い態度に出れば、領土について譲歩する」と考え、今後、当該領土の確保に動くに決まっている。
その証拠に、首相が鳩山から菅直人に変わったとき、中国は尖閣諸島近辺を露骨に脅かすようになってきた。菅首相は抗議するどころか、何に反応もしなかったのである。無能のそしりを受けてもしかたがない。
では、そのあとどうなったか? 意外な展開が待っていた。
3月11日に震災が起こった。
中国は「しめた!」と思った。尖閣諸島近海には一説に1000兆円もの原油を埋蔵した海底油田が眠っていると言われている。これを中国のものにすれば、中国はいっきょにアメリカに代わって覇権を握れる。
北方領土についても同様だ。メドべージェフ書記長が昨年、国後島を訪れた。そもそもメドべージェフ書記長は麻生首相と「北方領土問題の解決をともに目指す」と声明を出したのに、この約束を反故にしての訪問である。もちろん、鳩山首相のバカな発言のおかげである。
菅首相は無能なので意味がわからなかったようだが、この危機に立ち上がったのがアメリカである。中東に向かわせていた空母を東北に派遣したのである。
これによって、復旧が大幅に進んだのは当然だが、実は真の目的は中国への牽制である(アメリカの中東戦略はこれで狂いが生じたのだが、別の話なのでここでは触れない)。
アメリカの空母派遣によって、東北復興のため自衛隊を集中的に投入できることになった。中国はアメリカの牽制で動くに動けず、尖閣問題は硬直したのである。
なんと、震災のおかげで「民主党政権のうちに尖閣を獲る」と考えていた中国の動きが直前ほど活発ではなくなったのである。不幸中の幸いとはまさにこのことであろう。
やがて東北については緊急性のある作業はとりあえず一段落し、無能なのに権力にしがみついた前首相もついに交代することになった。
ここで中国、ロシア、韓国がともに動く。中国は尖閣諸島近辺を船で侵犯、ロシアは戦闘機で侵犯、韓国は竹島に軍隊を置くことを発表した。
なぜだろうか?
もちろん、野田首相の反応を見たのである。彼が評判どおりのまともな首相なら、それぞれの国に正式に抗議し、国際問題化するだろう。
野田首相は安全保障のことを唯一知っている(と私が考えていた)のだが、なんと、安全保障をまるで勉強していないどころか、在日韓国人(「外国人」ではない)参政権運動をやっている一川保夫を防衛大臣にしてしまったのである。
理由は、防衛大臣という職を軽んじ、公明党との連携をはかる「餌」として外国人参政権に前向きな政治家のひとりとしておそらく入閣させたのだろう。そして、あの発言が飛び出す。
「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」
防衛について知らないものが、防衛のプロである自衛隊を指揮すると言い放ってしまった。
喜んだのは、中国、韓国、ロシアだ。また、北朝鮮も喜んでいるはずだ。参加国はついに念願の領土が手に入る千載一遇のチャンスだと考えただろうし、北朝鮮はこれで動きやすくなった。
また、韓国と北朝鮮については、日本国内にいる在日朝鮮人や在日韓国人が、参政権をとって自分たちの国益にために動いてくれることがほぼ決定的になったと考えただろう。
野田政権に関する問題はまだまだあるが、とりあえずここまでにしておく。
野田首相は増税政策と引き替えに、実質的に日本という国を売ろうとしているのと同じだ。しかも、鳩山首相や菅首相のように日本を売ろうとする反日政治家ではない。安全保障も外国人参政権の怖さも知っているまともな政治家なのである。
それなのに、自分の政治信条を曲げて、増税のために国を売ろうとしているわけだ。
国民が「どじょう」などといった一見謙虚な響きに、だまされないようにしてほしいと切に願う。
野田首相は民主党の中では相当優秀なほうであるが、こんなつまらない腹芸でコトをなそうとした時点で、その器の小ささを明らかにしてしまった。
(おしまい)
