いい加減にしろソフトバンク(「光の道」構想について・その4/最終回) | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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昨年、私がソフトバンクでiPhoneを買ったとき、店には「実質ゼロ円」というポスターがかかっていた。気になったのは「実質」のところである。



これが意味するのは、ソフトバンクが毎月、iPhone月賦ぶんを料金から引いてくれるということだ。2年間の月払いにすれば負担はゼロ円になる。私は一括で買ったので、たんに料金が安くなる。



それだったら、iPhoneをタダにすればいいだろうという気がするが、それではソフトバンクにうまみがない。



これはどういうことだろうか?



Aさんが7万円するiPhoneを1台契約する。するとソフトバンクは7万円の売り上げになる。



これは一括払いだろうが、月賦だろうが7万円の売り上げには変化はない。月賦の場合でも、金融機関から借りてAさんから払っている扱いになるので、ソフトバンクに7万円入る点では同じである。



もし仮に200X年iPhoneが1万台売れたとすると、ソフトバンクの売り上げは7万円×1万台で7億円だ。通信量以外に、ソフトバンクの売り上げにはこのiPhoneの7億円が加算される。



だが、この7億円はあとでユーザーに毎月返さなければならない、いわばソフトバンクが一時的にユーザーから借りているお金と見てよい。



ところが、帳簿上はそうはならない。この7億円は借りているのではなく、あくまで売り上げである。あとでソフトバンクが月々ユーザーに負担するお金は、単なる「販促コスト」として計上される。



だから、200X年の売り上げは、誰がなんと言おうとあくまでプラス7億円である。



これによって、ソフトバンクはその場の見かけの売り上げ(=あとで返さなければならないお金)を実質以上に膨らませている。だから、とりあえず7億円が増えた200X年のソフトバンクの帳簿は絶好調である。



しかし、あとで返さなければならないので、200X+1年からはそのぶんがマイナスになる。いくら200X年が好調でも、しょせんは「見せ金」の効果だ。あとから引かれる。



そこでソフトバンクはさらに大キャンペーンを張る。「見せ金」を用いてどんどん安くしていくわけだ。また、新型iPhoneが出ればまた売り上げが伸ばせるので、業績は上がる。前の年の「見せ金」のぶんを売り上げで上回ればいいということになる。



もちろん、逆に、翌年売り上げが落ちれば、前2年間の「見せ金」のぶんが引かれるので、売り上げの落ち込みはさらにひどくなる。そうしないためには、「売り上げ」を前の年より伸ばすしかない。いわば自転車操業状態に陥る。



なぜ、ソフトバンクはそんなことをするのだろうか? 見栄っ張りだからだろうか。



「見栄」というのはある意味で正しい。ただし、この場合、見栄を張る相手は株主である。つまり、見かけの売り上げを伸ばして、業績が良いように見せれば株式が上がるので、ソフトバンクの価値を上げることできる。



その高くなった株を使って、さらに別の会社を買収すれば会社はどんどん大きくなる。その場の自転車操業状態は脱却できるが、次の自転車操業が始まる。



「その場だけ高くなればいい」という短期売買の株主ならもちろん何も文句は言わないだろう。問題は長期保有者である。その年の純益だけ見て「ソフトバンクは業績が良いんだなあ」と思って保有継続。さらに買い増しなぞしたら・・・・。



孫正義氏は、光の道構想の件で、「国民が安価にネットを使えるように、リスクをとって自分の案を採用すべきだ」などと言ったのだが、私としては「よく言うよ」という感じである。



この人は一貫してリスクを自分で負わず、できるだけ他社に負わせてきた。強引な手法で見かけの売り上げを伸ばし、株をつり上げて買収を仕掛けて会社を大きくしているだけである。実際にあるビジネスでリスクをとって投資して商売として儲けるということはさほどやってきていない。今回の光の道構想の「B案」がまさにその典型である。



私は孫氏がたいした人物ではないとか、ソフトバンクがダメだなどと言いたいのではない。実際、一大でこれだけの大企業グループを作り上げた力量はすばらしいと思う。



ただ、ソフトバンクのテレビ戦略にだまされて、「光の道」構想で日本国民が損をするようなことを避けてほしいだけである。ソフトバンクはNTTから回線を借りればいいだけである。NTTがわざと自社に有利にしないように、第三者が監視すればこと足りることだ。



とくに最近のソフトバンクのテレビCMはひどすぎる。大嘘で塗り固めたソフトバンク案を「B案」などと称して、「A案とB案はどちらがいいか」などとやっている。そりゃ、実現性が高いなら安いB案がいいに決まっている。しかし、B案はソフトバンクが適当に安めにでっち上げた見積もりでしかなく、実現性はない。


ソフトバンクはB案が採用されると、わずか1000億円の投資で、別会社の果実から3分の1を受け取ることができる(NNTとKDDIと折半なので)。だが、実際にこれまでそのほとんどを作ったのはNTTであり、そのNTTを支えてきたのは国民の税金と、固定電話契約料(1台約7万円)である。ソフトバンクは自分の案が採用されれば二重に「いいとこどり」になる。



また、テレビCMで上戸彩さんをはじめとするタレントを、こういった国策論争のどちらかに無理矢理立たせるのはおかしい。高い契約金を払っているからやれと言われればやるしかないが、もしかしたら、タレントの誰かは「ソフトバンク案はおかしい」と考えているかもしれない。それなのに、無理矢理その立場に立たせているのである。これは(オーバーに聞こえるだろうが本気である)まちがいなく言論統制である。企業広告のタレントの使い方として逸脱していると考える。



光の道でソフトバンク案が却下されたあと、孫氏がテレビに出ている番組をいくつか見た。「やっぱり」と思ったのは、孫氏は出ている番組ごとに言うことがころころ変わっていたことだ。ようするに、孫氏は自分の案を本気で実現できるとは考えていないのである。彼としては、自分の案が通ればそれでいいのだから、中身なんて実はどうでもいいはずだ。当然と言えば当然だろう。



もし、ソフトバンクがB案でなければ「自由競争」にならないと言うのなら、iPhoneのシムロック解除を認めるべきだろう。それすら認められないソフトバンクが、自由競争による通信料金の削減を主張しても、説得力がない。「自転車操業状態」は自己責任でビジネスでカバーすべきだろう。



それよりも何よりも、ソフトバンクが大スポンサーだからと、孫氏の意見をまるで正しいかのように取り上げるテレビ局も節操がなさすぎる。そもそもソフトバンクのCM攻勢は、メディアにソフトバンク有利の報道をやらせるための戦略である。ソフトバンクは商売をしている会社ではなく、イメージを上げて株価をつり上げ買収で大きくなっている会社なので、その場の採算点など軽視しているのである。どう考えても、そんな会社がまともな主張をするわけがない。


孫氏の節操のなさにもあきれるが、それに簡単に追随するテレビは孫氏よりはるかに節操がなく見えてしかたがない。



(この項おしまい)



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