ソフトバンクの基地局はNTTの半分しかない。それなのにスマートフォンの代表格であるiPhoneが爆発的に普及したのだから、それだけ通信量も爆発的に増える。すでに既存の設備では耐えられなくなってきており、もう限界寸前と言っていいだろう。
そこで孫正義氏が考えたのが「光の道」を利用することである。光の道が完成すれば、iPhoneがいくら売れようがパケット通信に支障がなくなる。なにしろ全世帯が超高速ブロードバンドを持つわけだから、モデムさえつければどこでもLANが使えて、インフラ投資しなくても通信に支障がなくなってしまう。
また、光の道はNTTやKDDIと一緒に負担するわけだから、コストは3分の1。しかも、大部分の施設や人材はNTTがすでに負担しているので、ゼロから自社でやるのとは比べものにならないくらいずっと安くすんでしまう。
もしソフトバンク案が通ればこうなる。
パケット通信に問題がなくなれば、NTT優位の構造はすくなくとも「つながりやすさ」ではなくなる。あとはどこがすぐれたスマートフォンを持っているかが勝負になる。
すると、日本で圧倒的な人気をほこるAppleの製品を丸抱えしているソフトバンクが一挙に優位に立つ。あとはジョブズ氏だのみ。もしAppleがすごいスマートフォンを作れば、ソフトバンクはドコモを抜く可能性が出てくる。
これが孫氏の描く「ソフトバンク一発逆転戦略」だ。
そうすると、ソフトバンクが光の道でNTTの見積よりはるかに安い金額を出し、保守点検でこれまでよりはるかに安くすむようになり料金を安くできると大嘘をつくのも、ソフトバンク案が通りさえすれば、スマートフォン戦争で勝利できるからにほかならない。
もしソフトバンクがさほど儲けが出ないブロードバンド事業なんて本気でやろうとしていると考えているとしたら、すでに孫氏の術中にはまっているのである。孫氏はさほど金を出さないであとで儲けられるから、自分の案を出しているにすぎない。
すこし話が変わる。私がiPhone3GSの32GBタイプで買ったのは昨年である(現在の型の1つ前)。ソフトバンクの店で契約したのだが、そこで驚いたことがある。
まず値段。本体の値段が約7万円。高いぞ。
最初から買うつもりだからいいのであるが、店員が「本体の分は2年間毎月ソフトバンクが払いますよ」と言う。結局、ほぼタダになるそうだ。なんだそりゃ?である。
その場では理由がわからなかったのだが、これがソフトバンクのあくどい策略であると気づく。帳簿のわかる人ならきっと簡単にわかるのだろうが、私は普段あまりそういうの得意ではないので、気づくのにまる1日かかった。
ようするに決算マジックである。
続きます。
