ソフトバンクを使っている人ならわかるだろうが、他社と比べると電波が入りにくい場所が多い。それでも使っているのは、単にiPhone好きだからである。
電波についてはソフトバンクの前進であるボーダフォン時代から問題視されていた。孫正義氏はそのことを知っていて買収したのであるが、買収後に「質の良い電波が割り当てられていない」と行政に抗議している。
もっと問題なのは、電波インフラの整備をまともにおこなっていないことである。「整備要求はするが、自分で整備はしない」という態度を貫いている。ドコモやKDDIが地道にインフラ整備にお金を出しているかたわらで、である。すこし神経を疑う。
ソフトバンクが生き残っているのは、料金の安さと、iPhoneを独占しているからである。お金のかかるインフラ整備はやらずに、また商品開発すらコストのかかる部分はすべて他社まかせだ。
もちろん、それは経営方針なのだから批判すべきことではない。ただ、光の道へのソフトバンクの主張を聞くと、問題だらけである(後述)。
なぜソフトバンクがそのような経営スタイルになったかを考えると、ADSL戦略で失敗したこととが関係あるのかもしれない。
覚えている方も多いだろうが、まだADSLが普及していない時期に、アルバイトを動員してソフトバンクは街中でモデムをタダで配って、自社のADSLを広める戦略をおこなった(その強引さがたびたび問題になった)。料金もそれまでの標準的な金額の半額にしてしまう。
その結果、日本のブロードバンド通信料金は劇的に下がり、一挙に普及したのである。そういう意味で、ソフトバンクは功労者である。
ただ、「モデムを配る」という行為には、モデム料金のほか、人件費や場所代などかなりのコストが必要である。ある週刊誌の記事によると、1つのモデムを配るのに5万円以上経費がかかっているのではないかという記事があった。
もしそうであれば、ソフトバンクはおそらくこのときのコストをまだ回収できていないはずである。つまり、赤字である。ソフトバンクはYahoo!BBで潤っているかのように見えるかもしれないが、内実はおそらく大赤字のはずだ。
ソフトバンクが携帯電話事業に乗り出したのは、ブロードバンド事業で作った大きな赤字を相対的に小さくするために、さらに大きくお金が動かせる事業に乗り出したというほうが、現実には近い。ソフトバンク株が高いうちなら買収が可能であるから、思い切って携帯電話に参入したのだろう。
孫氏は光の道に関して、「自分たちにはブロードバンドを普及させて実績がある」といって、NTTより安い見積もりをしているのだが、そもそも実績などない。赤字を出しているのに実績になるわけがない。
もちろん「日本にブロードバンドを普及させた」という意味では立派な実績だが、黒字を出せないような事業にしてしまえば、その分野の発展性は大きく損なわれるのである。
では、そのソフトバンクが、なぜ「光の道に出資する!」などと殊勝なことを言いだししたのか? それがiPhoneやiPadが予想以上に売れたからだと思う。
続きます。
