
ロスバスタチンとプラバスタチン
上は2018年にアップした記事である。この記事の中で、アトルバスタチンからプラバスタチンに変更することで長期間続いた足の疼痛が改善したと記載している。
アトルバスタチンが時に疼痛を惹起させるのに、プラバスタチンはアトルバスタチンほど疼痛が診られない理由は、おそらくプラバスタチンは水溶性だがアトルバスタチンは脂溶性であることが大きい。
これが原因で、プラバスタチンの方が副作用的に服薬しやすいのであろうと指摘している。実際、当時、三共はアトルバスタチンより効果が若干落ちるものの、日本人の忍容性を意識してプラバスタチンを上梓したのである。以下は添付文書から。
アトルバスタチンの薬理特性。
以下はプラバスタチンの薬理特性。
彼女はプラバスタチンにより、十分にコレステロールの値が下がってはおらず、服薬しないよりは下がっているレベルであった。つまり治療的には十分ではないが、忍容性を考慮しプラバスタチンを継続していたのである。
血中コレステロールの調整について、その厳格さにおいて内科医でも差異がある。これは血圧なども同様である。内科臨床医の中には、あまりに多剤になった成人病関係の薬剤を大幅に中止し経過を診る医師もいるほどである。
上記のプラバスタチン服用中の患者さんだが、ある日、かかりつけの内科医からプラバスタチンからロスバスタチン(クレストール)に変更される事件が起こった。その理由は、効果の点でプラバスタチンよりロスバスタチンの方が優れるからであろう。
僕は当時、アトルバスタチンからプラバスタチンに変更する際に、なぜ変更が必要なのかを説明していたのに、すっかり忘れていたようであった。その際に脂溶性、水溶性の相違についても言及している。
その後、足が攣るという訴えが診察中に見られるようになり、本人が診察中に芍薬甘草湯を希望したのである。その際、もしかしたらと思い、抗コレステロール薬の変更の有無を聴いたところ、約1ヶ月前にプラバスタチンからロスバスタチンへ変更されていたのであった。
これは初診時に見られたような強い疼痛ではないものの、ロスバスタチンを中止すべき所見である。ロスバスタチンもアトルバスタチンのように脂溶性の特性を持っている。
そもそも彼女は2018年当時、足の疼痛から料理などをする際にもフラミンゴのように片足で立ちやっていた。その日、筋肉の攣りに留まり、まだ強い疼痛ではないが、今後、再び強い疼痛が惹起する可能性がある。
当時、彼女は精神科に初診するまでに、地域の中核病院を含め4〜5つの整形外科を受診している。しかし原因不明とされたからこそ、精神科に紹介されたのである。
あの疼痛が血液検査所見が十分に示唆していなかったとしても、整形外科医がアトルバスタチンが原因と気づかないとダメだろうと思う。なぜなら、添付文書に副作用として記載があるからである。
なぜ精神科で疼痛患者を診る際に、器質性の原因に気づくことがあるかと言えば、まず精神科医は、器質性の原因があるかを検証する習慣があるからである(具体的には器質性由来のものを除外する)。これは統合失調症を含め、大抵の診断基準に言及されている。
ロスバスタチンからプラバスタチンに戻したところ、速やかに足の攣りが改善したと言う。まさか、内科医もそのような経緯で、プラバスタチンのような古い薬を処方されていたのか知らないと思うので、変更したことの責任はない。
今回、久しぶりに添付文書を読んでいたところ、脂溶性、水溶性だけでなく、血中半減期も疼痛の惹起しやすさといくらか関係しているのではと思った。プラバスタチンはアトルバスタチンやロスバスタチンと比べ、圧倒的に血中半減期が短いからである。
ロスバスタチンのパラメータ。
アトルバスタチンのパラメータ。
プラバスタチンの血中半減期は上記2剤に比べ圧倒的に短い。
参考
疼痛性障害のテーマ。
悪性症候群、横紋筋融解症のテーマ。






