対人支援職において、クライアントさんのゴールの日はいつなのか? | 頭で悩むより、神経系から整える。人と心がもっと愛おしくなる話

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人が前に進めないとき、身体と神経系では何が起きているのか?東京藝大卒・元ソニーミュージックディレクターの皆川公美子が、独自の「BMS(心身相関)」視点で人の心と感性の世界をマニアックに紐解く探求ブログです。

・国家資格キャリアコンサルタント・Gallup認定ストレングスコーチ

・TRE(トラウマ&テンション・リリース・エクササイズ)国際認定アドバンスプロバイダー

・自我状態セラピー(パーツ心理学)セラピスト 

 

可能性を束縛するライフブロック(生きづらさ)から解き放つ。

皆川公美子です。

これまでにのべ7,600名ほどの方のご相談を伺ってきました。



今日はクライアントさんのセッションゴールはいつなのか?
というお話をしてみたいと思います。

このお話は、セッションをするうちに深いテーマについて
何度もリピートを重ねて扱うようになったという
対人支援職の方に向けて書いてみます。


愛着形成の困難があってながいあいだサバイブしてきたクライアントさんや
身体的な過剰な疲労や不安や感覚過敏があるけれども
自律神経の耐性領域を広げていく努力をしている過程には
つきものの話かと思います。


クライアントさんの変容にはある程度時間がかかります。
(身体反応の変容には時間をかけていくほうが安全でもあります。
身体は急激な反応を嫌います。身体にとって命の防衛をする必要があり変化より
現状のほうが安心・安全だからです)
 

 

対人支援においては、私の場合でいうと

1回のセッションで終了される方〜20回程度来られる方もいらっしゃり、

時間的な忙しさや経済的都合などみなさんそれぞれに事情がある中で

中長期的な視点でゴールをどこに設定するかというポイントはとても重要だと思います。


そして「生きづらさ」

そんな中で今日はクライアントさんのセッションの終わり、

つまり癒しのゴールとは何か
「今日で卒業でいいと思っています。どうですか?」
と対話する日はいつなのか、についてです。

 

 自立と成長を促す対人支援



私の場合、対人支援は

治癒モデルではなく成長を目指すものと考えています。

 

治療・治癒においてゴールは困りごとがなくなること、つまりマイナスがゼロになることですよね。

 

自分に対する否定感が強く

“自分なんかできるはずがない” ”自分なんでダメ、まだまだ”と思っている方の場合、

心と身体は密接につながっていますから

交感神経や低覚醒領域に極端に偏った状態が続き、身体に負担がかかります。

 

負担が重なり身体に影響を及ぼし続けると、これが病名を伴う症状に発展することもあります。

例えばうつ病や強迫性障害・パニック障害といった診断がついた場合、

身体に表れた症状が完全に消えることがゴールになりますよね。
もちろんこの状態においてはお薬も必要な手段となることがあるでしょう。

 

一方で、その手前の領域(この予防領域がわたしの担当領域です)
不定愁訴のような病院で診断がつかない状態や、

病変が起こって数値的な変化が見られる前に、
生活ができないほどではないけれども
けっこう苦労しているの、という状態がありますよね。

 

 

 クオリティ・オブ・ライフを高める支援

 

言い換えると、私が重要だと考えるのは

クライアントさんの生活の質(=QOL・クオリティオブライフ)を向上させること、です。

 

病院での治療などにおいて身体の数値が改善する、病巣を切除するなど

生活にはかなりの困難があるけれども、一応「治癒した」と数値上判断される=西洋医学の設定しているようなゴールではなく、

人生そのものをより良くしていくことが重要だと思っています。

 

たとえば、健康的で人間関係や社会参加、お金に対するエネルギーが湧き

人生を様々な面でトライアルできる状態。
 

自分はダメなんだという思いから解放されて”わたしはわたしでやっていく!”という自己効力感を得たり

“自分でいいんだ”と思えたり

強みを活用して活躍できるようになったり

自分で選んで問題解決ができる状態になることと設定しているんです。

 

トライアルする人生というのは

自分のエゴで他人を支配するという方向ではなく、

むしろ、自分自身と他人を信じ、力を発揮できる状態で人生を思い通りに進めるという意味で

人生思い通りを実現できる状態や

自分が自分のままでいいんだと思って他人のために力を使える状態が

とても大切だと思うんですよね。

 

 

 「今日をゴールとしてもいいんじゃないですか?」

 

そのため、対人支援を行う上では長期的な視点を持つことがとても重要だなと感じています。

これがゴール設定と密接に関わっています。

長期的にここまで行こうということを、クライアントさんとともに設定するから

ゴールも見えてくるわけです。

 

わたしのクライアントさんにもつい最近、

「今日をゴールとしてもいいんじゃないですか」という話をした方が

何名かいらっしゃいましたが、

実際にご家族や職場など周囲の方から存在感が変わったと言われた方も複数いました。

 

 

チャレンジするような動きが増えたり、へこみすぎたりしなくなったり

自分の意見として堂々と考えを押し出せるようになった姿を見て

こんなセッションを受けているとは全く伝えていないご家族などが

“何かあったの?”と変化を察知したり

仕事場で以前より生き生きとしている姿が見られたりするケースがあります。

 

 

また周りの人の言動や気持ちを気にしすぎて何も言えなかったり

自分が我慢して飲み込めばいいんだと考えていた人が

自分の権利を理解して主張できるようになる、

さらには反論されてもそれに対してやりとりができるようになるなど

防衛しているだけではなくその人の力を使えるようにもなっています。

これは幼少期に抑圧された自分のニーズを
きちんと他者に伝えられるようになったり、

自分の願いを叶えるために
人に頼れるようになったり、

活力が足りてないかんじだったのが
ハツラツとしてきたり、

日常的にはそのようなエネルギー力として
観察されます。
 

 

こうした変化は、社会や人間関係に自ら働きかけ、変化を起こせる力がついた証拠です。

 

私はゴールだとする条件の一つとして

その方の力で社会や人間関係に働きかけて、ご自身で変化を起こせるということが

非常に大事で重要だと思うんですね。

 

柔軟性と継続的なサポートの大切さ

対人支援者のみなさんには

セッションを通じて、クライアントさんの身体的な様子、

たとえば自己調整力や自律神経の状態を見立てる力、

そしてそれに対して変化を起こしていくための適切なサポートを提供する力を

ぜひゲットしていただきたいです。
 

 

それができるようになると、多くの事例が長期的に得られるようになります。
リピート、というのは
商業的な言葉でありますが
クライアントさんは「自分が前進している感じ」をわかることができます。


対人支援者が長期的な目線を持っていることで

いろいろな手段を試した結果、「大体どのくらいの期間がかかるのだろう」という予測も

立てられるようになるんです。

 

ただし、予測を立てていたとしても、実際には予想外のことが起こることもあります。

むしろ起こらないことの方がまれかもしれない。
 

たとえば、半年後になって初めて「こんな事件に遭ったことがある」とか

「こんな虐待を受けた経験がある」と打ち明けてくださる場面が出てくることもあるんです。

ご自身にとって
とても言えないことや
圧倒感のあること、
恥だと思っていることは
めったなことでは口から出せません。

 

それでも言ってくださったということは
開示してもいいと身体が安心感を確固としたものとしてくれたという証拠です。
対人支援者冥利につきます。

 

 

クライアントさんの状況や背景が明らかになることで

方針を柔軟に変更する必要が生じる場合がありますが、

それに対してフレキシブルに考え自分の中で方針変更して対応する力も必要になりますよね。

 

人の人生が1回のセッションで根本から劇的に変わることはほぼありません。

身体にとってはこれまで曲がりなりにも命を守ってきた身体反応実績のほうが大事ですから

急激な変化に対して拒むようなことが起こるのは当たり前です。

ですので、YouTubeなどで情報だけ取れたこれでOK、ちょっとやってみますというのは

ものすごく軽いライトな悩み以外は、なかなかうまくいきません。

 

何かよくわからないことに自分が巻き込まれている、

いつも何か人間関係がうまくいかないと感じている、

いつも職場でなぜ自分だけ?と感じる良くない立場に押し込まれる、

自分だけいつも何かハラスメントの対象になる・・・

 

そういうことがあったらこれは確実に継続必須の案件なので、

クライアントさんに支援者側の視点から今考えていることをお伝えして

継続支援を納得していただけるだけの材料を対話できる、そういうスキルも大事かなと思います。

 

支援にあたってどんなツールを使っているか、や

来てくださるクライアントさんの願いや、悩みがどんなものであるのかに

もすごく左右されることなので、

今日お伝えしたことが一概に絶対に正しい、すべての対人支援に当てはまる

というような答えではないと思いますが、何かのご参考になったら幸いです。

 

心を込めて。

 

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